忘却の姫子
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レゼナが咲いた日 
 今年は押し花を作るつもりだった。

(どうしよう。ジャムも作りたいんだよね……)

 マクベスさんに作り方を教えてもらおうかな、と、自室に向かって廊下を歩きながら呟く。マクベスは、近隣に住むジャム作りが上手な婦人だった。
 美味しいと近所でも評判で、本格的なお店は開いていないが、欲しいと頼まれれば安値で売っているのだ。
 もちろんミルフィも何度か買ってお世話になっている。

(そうだわ。決めた。やっぱり今年はジャムと押し花で行こう!)

 そう決意した時だった。玄関のチャイムが鳴ったのは。

「あれ?」

 こんな早朝に誰だろうか。ミルク配達のハウエルだろうか。だが、配達は昨日来たばかりだ。
 ミルク配達は二日に一度だった。

「速達の郵便屋さんかな」

 首を傾げながら、はぁい、どなたですかとミルフィは玄関に向かった。

忘却の姫子