忘却の姫子
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レゼナが咲いた日 
『王家の人間はみんな虐殺されたのじゃ。王も王妃も子供達も。まだ産まれたばかりの赤子もいた。王女だったそうじゃ。酷いものじゃ。そうじゃの。もしその王女が生きていればミルフィと同じ歳になっていたじゃろうな──』

 学校の授業では習わなかった詳細を、そしてずっと忘れていたことを話して聞かされた。

『そうじゃ。思い出したよ。セレスティアが滅びた年の春──ちょうど今頃じゃったな。ミルフィがこの町へと父親と共にふらりとやってきたのは。あの年もレゼナがよう咲いた』

 ミルフィとユージンがこの町の出身ではないことは、町のみんなが、ハウエルでさえ親から聞いて知っていた。ミルフィ自身もそれは承知のことである。
 学校でも一時期噂になった。ミルフィには東の──レイズヴァーグの血が流れていると。

(もし王女が生きていたなら……か)

忘却の姫子