ラスナーダ亭
ミルフィは仰天し、危うく悲鳴を上げるところだった。
いつの間にかそこに、一人の人間の少女が椅子に忽然と座っていたからだ。
年齢はミルフィと同じか少し下にも見える。綺麗な黒髪を顎の辺りで切り揃え、頭の両脇から黒の猫耳が生えていた。瞳は右が青で左が金。そして胸元には見覚えのある鈴のペンダント。彼女が身動きする度に、チリン、と軽やかに鳴る。
目を見開き、あんぐりと口を開けて忽然と現れた少女を穴が開くかと思うほど凝視する。
少女も、そんなミルフィを興味深く見つめてくる。
「まだ気付かないの? お馬鹿ねえ」
「ソララ、なの?」
お馬鹿ねえ、の一言に若干むっと口を尖らせたものの、突破口を開いてくれた。
「他に誰がいるのよ」
「亜人種って、人間の姿にもなれるの?」
「本当に何も知らないのね」
驚いたわ、とソララは軽く苦笑した。