ラスナーダ亭
ルシアスが戻る。しかしというか、ここでも事件の報せは、痕跡すらないという。
それでも、ユージンが向かったはずのラスナーダ亭に向け、3人は歩き出した。
街広場を抜け、駐屯軍からもらってきた街の地図を頼りに、時折人に訪ねながら、進む。大半はルシアスが率先して動いていたが、逸る気持ちを抑えられず、ミルフィ自ら、通行人を呼び止めて訊いたりもした。
いくつかの路地を抜け、段々と、華やいだ雰囲気の街からは離れ、うら寂びれた様相を呈してきた。整備された表の舗装路とは裏腹に、高い建物の裏路地にやがて入り、通りもやや狭く、きちんと掃除が行き届いているとはお世辞にも言えない。
お酒なのだろうか、空き瓶が無造作に転がっていたり、黄ばんだ古い紙や新聞のようなもの、木っ端や石ころ。通りの隅は、そんな有様だ。
このような場所に、ラスナーダ亭が……?
通りを走る空気の低さにやや身震いをし、自らの腕を交差させて抱きながら、ミルフィは不安げに辺りを伺っていた。
やがて。
「ここだ」
ルシアスが足を止めた。