04.眠る猫


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空閑の黒トリガーを巡っての争いから数日、なまえは広報活動や学業の合間を縫って何度か玉狛を訪れては空閑や三雲と訓練を行っていた。

「むむ…みょうじさんに大打撃を当てられる日はいつくるのか…」

訓練室から出てきた空閑はふぅ…とため息を吐きながら恨めしげな目線をなまえに送る。なまえはボーダーのトリガーに慣れれば今よりは当たるようになるわよ、などと返しつつ烏丸に声をかけた。

「京介くん、銃手に転向した修くんと千佳ちゃんの調子はいかがー?」

「今後に期待、ですかね。あ、よかったらメニュー見てもらえます?射手トリガー使ってるみょうじさんからも一言欲しいっす」

烏丸はノートを差し出し、なまえとメニューについて三雲の調子を踏まえながら相談をしていく。
ひと通り纏まったところで烏丸はお礼を言い、なまえはこちらこそ情報ありがとうと返して支部を出ていく。


向かった先は三門市内のテレビ局で、これから嵐山隊とみょうじ隊が対談形式の撮影があるらしい。
嵐山隊と合同らしい控え室へ入る。
集合には大分早い時間で部屋にはまだ誰も来ておらず、なまえは用意されていたソファの隅に丸くなった。
遠征から帰ってきてからというもの、空閑逹の指導や迅との暗躍で普段目を使わない時間に酷使して疲れてしまっていたからなのかなまえはそう時間の経たないうちに眠りについた。


なまえが眠りについて暫く経った後、最初に部屋に着いたのは講義が早く終わったのであろう嵐山だった。
電気をパチリと点けて、ソファの隅で猫のように丸くなったまま寝ているなまえに気付いた彼は着てきたジャケットを持って彼女に近づいた。
無防備にもすやすやと気持ちよさげに寝ている彼女の顔を嵐山は覗き込む。
キラキラとした黒い瞳は今は閉じられており、それを縁取る長い睫毛が彼女の白い頬に影を落としている。
キリッとした眉にスっと通った鼻筋、頬はほんのりと色付いていてつやつやとした形の良い唇は少し開かれている。
嵐山はゴクリと喉を鳴らしてからゆっくりと顔を近づける…










鼻が触れるくらいの距離になった瞬間嵐山は急に我に返ってぶんぶんと頭を振り、そっとジャケットを掛けてから静かにその隣に腰をかけた。

「(…これ以上はだめだ。大人しくレポートに手をつけて木虎達を待とう)」

程なくして学校を終えたらしい木虎達が到着し、そろそろ撮影の時間になった。なまえが嵐山隊の隊室等で寝ている姿はよく見かけるので驚きはしなかったが、時間が差し迫っていた為木虎は嵐山に彼女を起こしてあげてほしいと促した。

「おい、なまえ起きろ。そろそろ時間だ」

なまえはぼんやりとした顔のまま身体を起こし、上に伸びをしたところで自分にかけられたジャケットに気付いた。

「おはよぉ、藍ちゃん達も来てたのね。
…このジャケットは准くんの?ありがとう。」

寝起きだからか普段より締まりの無い顔でふにゃりと笑いながらお礼を言うなまえ。
それを見て少し頬を染めながら気にするな、そろそろ行く時間だと答えた嵐山を見た木虎は二人の関係はいつ変わるのだろうかと思いながら時枝達の後を追って先に行ってますと嵐山達に告げて部屋を出た。

「准くんにはいっつも起こされてばかりだね、いつもありがとう」

「そう思うならちゃんと夜に寝るべきだ」

そう言って軽く叱ると同時に嵐山は先程の自分のしようとした事を思い出した。
赤くなったであろう顔を見られまいと、なまえから顔を背けて俺達もそろそろ行くぞと声をかけた。
行こっか、と返すなまえを見ながら嵐山はフッと笑った。

(あんな風に眠るなまえは他の男共には見せたくないからな…)

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