二度ある事は三度ある


「あ、ありがとうございます」

「いえいえ、お気を付けて」

「そうだお姉さん!僕江戸川コナンだよ!よろしくね!」


絶対わざとだろ、絶対わざと自己紹介して揺さぶりかけたろ。


「よ、よろしくです」

「僕は安室透です、」

「あ、あ、よろしくです」


それに揺さぶられる私も私だけどね!!!

あ、そうだ、安室さんの車私のせいでボロボロだよ。
窓とか粉々で無いし。これは直さなきゃ。

返してもらった杖をホルダーから取り出し、車へと向ける。
二人がそれに驚いて、警戒心を強めたけどこの際もうどうにでもなれ。


「レパロ」


壊れた車を直していく。
杖先からパラパラと破片が出てきて、それが車へと戻っていく。
数分すれば、新品同様の車がそこにあった。

よし、これで弁償しなくて済む!!

内心大満足な私は、二人に改めてお礼を言って家の中へと入っていった。


「あ、安室さん…」

「驚いたよ…まさか車も直すとは…」


取り残された後の二人は、ただただ呆然としていた。






安室さんの車が発進するのを見送らず、私は家の中へ入った。

今日一日で自分の色々なものを失った気がする。

コナン君と安室さんには確実にマークされた。
次会った時に忘却呪文をかけても良いが、生憎私が杖を取り出すと彼らは警戒する杖を折られるという最悪のシナリオも存在しかねない。
そうなると下手に彼らに呪文はかけられない。
それに私は、大好きな彼らに忘却呪文はかけたくない。


「どうしようか……」


改めて部屋を見回してみる。
部屋の中は全て白一色で統一され、ソファも机もベッドも、全て白。
ベッドの上に何か置いてあるのが見えた。手に取ってみると、何かヨレヨレの黒の革鞄だった。


待ってこれ私の鞄じゃん。


鞄の中に手を突っ込んでみると、肩まで入った。
うん。検知不可能拡大呪文かかってるわ私のだわ。


「これあるってだいぶ便利になったね……?」


私の鞄の中は、ほぼほぼ家の中にあるものを入れている。だからもし家が焼かれたり消滅したとしても、あまりダメージは無いのだ。

鞄が最早家。いや違うこれじゃ語弊がある。

まぁとにかくこの鞄があればとても良い。自分は入れないけどだいぶ楽になったぞ。

私は嬉しさにほくほくしていると、現実に引き戻すように玄関のチャイムが鳴った。

嫌な予感しかしない。


「っ……、はーい!」

「あの、この近所の者なのですけれども、少しお時間大丈夫ですか?」


あ、良かった近所の人だ……でも近所の人誰だ……分からん……。

優しそうな顔をしたおじいさんが、ニコニコと話をしてくれた。


「ここの敷地ね、私の私有地なんだけれど、明日には取り壊してマンションを立てる予定なんだよね」


Why……?おじいさん……?

私の間違いじゃなければ、今私の家を取り壊すって言ったね……?


「え、え、……?」

「だから荷物、まとめといてね、あ、次の住まいは自分で探してもらう方向でお願いしても良いかな?それじゃあ明日までに、」


おじいさんはニコニコと無情に扉を閉めて出ていく。おい。おい!!


私、これから家無し……!?