
酒は呑んでも呑まれるな
「じゃあ僕は帰るね!」
「ありがとうございました、またねコナン君」
「安室さん美味しかったよ、#name2#さんばいばい、今日はありがとう」
「う、うん、こちらこそありがとうね、」
全然ありがとうじゃないよちくしょう。安室さんと二人きりだよどうしてくれるんだ尋問タイムじゃないか。
だけど私が想像したのに比べ、安室さんは私に他愛もない世間話を振るだけで、尋問的な事は聞いてこなかった。
それにコナン君が去った後お客さんが増え、安室さんはそっちの対応に追われ私はケーキやらあむサンドやらを頬張りながら心の中で安室さんにエールを送る事になった。
*
「お待たせしました、では行きましょうか」
HAHAHAHAHA安室さん終わっちゃったよこれからどこに連れてかれるのかなー?
私と安室さんはポアロを出ると、安室さんの車の中に乗り込んだ。
再び安室さんの車の中。相変わらず良い匂いだねぇ!安室臭最高!!
「どこに行くんですか……?」
「そんなビクビクしないでください。取って食う訳じゃないですから」
「取っ……取って食うって……!」
安室さんの口から"取って食う"って!!何か笑われたしちくしょう!!
でもこれがイケメンがしたから微妙な心境。悪い気もしない。それに安室さんだからっていうのもあるから何割増なんだろうか。
車で走る事うん十分。
既に日も暮れ、夜が顔を出し始めた。
割と遠くまで来たなぁ……ここどこだろ……。
窓に顔をくっつけ、外を見つめる。
静かな道をしばらく走っていると、一件のバーの前で止まった。
「#name2#さんはお酒飲めましたよね?」
「え、ええ……大丈夫ですが」
「ここ、素敵な所なんです。今夜だけでも、付き合ってくれませんか?」
何てこったい。安室さんのお酒のお相手なんて。
*
入ってみると、心地よい音楽が流れてきた。
居心地の良い落ち着いたお店だ。
黒や茶を基調としていて、一人の眼鏡をかけたおじいさんがカクテルやらなんやらを作っている。(生憎私はお酒の知識は大して無い)
「さぁ#name2#さんこちらへ」
「お、お邪魔します……」
一番端のカウンター席へと促され、私は安室さんと壁に挟まれる形で座った。
「さて、何を飲みますか?」
「え、えと実は私……あまりマグ……あ、こちらのお酒には生憎疎くて……」
「あぁそうでしたね、では今日は僕のオススメを出しますよ」
そう言って安室さんは何やらマスターに一言二言言って、ニコニコとこちらを見てきた。私の顔そんなに面白いですか。
「#name2#さんと一緒に来れて嬉しいです」
人の良い笑顔で言われたって騙されないよ安室さん。
どうやらハニートラップじみた事で私を落として吐き出させるつもりかな安室さん。
こりゃあ本気で立ち向かわないといけないようだ。
私は少し深呼吸をすると、騎士団の頃の自分を呼び出した。
「そういうものは恋人とか好きな人に対して言うものですよ」
「僕の好きな人が#name2#さんなんですが……だめですか?」
私の明らか変わった雰囲気に少しだけ目を見開きながらも、安室さんは余裕たっぷりに返してきた。
あくまでもハニートラップで行くつもりらしい。
「今回含め二度程しか顔を合わせていない女性に惚れるなんて驚きですね」
「……#name2#さん、今日は何だかいつもと雰囲気が違いますね?」
煽り言葉のキャッチボール。
恋の駆け引きとは程遠いそれに何だか笑いたくなった。
安室さん強い泣きたい帰りたい。と心の中では叫びつつ、私は飄々とした態度で安室さんの言葉をうまく返す。
「今日は何だか気分が良いんです……そのせいでしょうかね?」
「別人を見てるようです……あ、来たようですね……最初はこちらからどうぞ」
そう言って安室さんが出してきたのはカルーアミルク。
いくら酒の知識が無い私だって騎士団に入っていたからそこそこは知っている。特に私は女だから、レディーキラーというお酒はそこまでかというくらい叩き込まれた。
だから安室さん。今出したのはレディーキラーですね。
しかもここしっかりしてるバーですね?なんて聞けないから想像だけど。
それならばかなりの度数までありますよね、十五は固いね?
「さ、どうぞ。お酒あまり慣れてなさそうでしたから、飲みやすいのにしてみました」
「ありがとうございます……」
飲むべきか飲まないべきか。
いやこの場合飲まないを選択したら速攻スリーアウトチェンジだよ。
飲むしかないよね飲みやすいのには変わりはないし。
はっきり言って私は酒に強いとは言えない。だから度数が十五もあるカルーアを飲んだらどうなってしまうのか正直分からない。
一か八かだ…頑張れ私!
カルーアが入ったコップを取り、一口飲んだ。
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