
酒は呑んでも呑まれるな
うわぁ飲みやすい……カルーアミルクすごい飲みやすい……さすがレディーキラーって言うだけあるね……。
まんまと安室さんの思惑に乗せられたかのように、私はさぞ珍しげにゆっくりとカルーアを飲み干す。
安室さんというと他のお酒を飲んでいた。何のお酒かは私では分からない。だけどあれはレディーキラーではないし度数が高いものではないというのは分かった。自分だけちくしょう。
「美味しいですね……飲みやすいです」
「そうでしょう?牛乳で割ってあるので、慣れていない方でも飲みやすいんです」
にこやかにスルスルと嘘を言えるものだ安室さん。
いや彼は嘘を一切言っていない。しかしこれは度数が高く、レディーキラーだという事は言っていない。
このまま度数の高いものをじわじわと出して私を程良く潰す気だな。
彼の企みは分かっているのに、それを防ぐ術が無い。
魔法で酔いを無くす事もできるが、自分に向けて杖を突き立てようものなら確実に怪しまれる。
結局私は、安室さんの企みに知っていながらも知らないふりをして遊ばれるしかなかった。
「あ、次はこれをどうぞ」
そう言ってマスターから受け取り、私に飲むように爽やかな笑顔の圧力を加えてくる安室さんが差し出すは、まさかのロングアイランドアイスティー。
安室さん、私そんなにお酒強いと思ってる……?
「……これは?」
引き攣りそうになる頬を必死に抑え、酒の知識が無い#name1##name2#を演じる。
すると安室さんはクスリと笑うと、グラスをこちらに見えるように、そりゃあもう必要ないわというくらい近くに置いてきた。
「ロングアイランドアイスティーと言いまして、実はこれアイスティーと言いますがアイスティーを一切使っていないんですよ」
「へぇ……すごいですね!アイスティーの味はするんですか?」
「それは確かめてみてください」
少し首をコテンと傾げながら、私より年上の二十九歳はにっこりと微笑む。
何この人かわいいかよ。
じゃなくて、そうじゃないでしょ凶悪かよ。仮にも私はレディーキラーを飲まされて潰されそうになっているのに。
自分でもこの状況に危機感をあまり持っていない事に驚いた。
安室さんだからっていう事だからかなぁ……それにしても私警戒しなさすぎじゃ……。
自分でも分かっているのに、まんまと安室さんの術中に嵌っていく。
気づけば私はロングアイランドアイスティーが飲み終わり、ルシアンやらアレキサンダーやら出されそれを飲んでいた。
安室さん全然飲んでないし……あぁだめだ頭がふわふわする……。
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