既視感は二度起こる


「はいどうぞ。簡単なものしか作れませんでしたが……」

「うおぁ……!」


"簡単なもの"と言いながら出てきた朝食は、スクランブルエッグにベーコン、トマトやキュウリやクルトンなどが入った彩り豊かなサラダにコンソメスープだった。
あの数十分でこのクオリティ。
何だ、安室さんは本当に人間なのだろうか。
流石安室クオリティ。あ、すみませんそんな目で見ないで。

早速フォークを取り、スクランブルエッグを口に運ぶ。


「っ……!安室さん……」

「はい、お口に合いましたでしょうか?」

「あなたパーフェクトヒューマンですか?」

「はい……?」


あれですかI am perfect humanとか言いながらグラサンで踊るんですかとか言いたくなったけれど、このネタは私の世界の故郷でしか通じないだろう。
うん、ホグワーツでも通じなかったし。


「とっても美味しいです……卵がふわふわ……スープも美味しい……!」

「ありがとうございます」

フフと安室さんに微笑まれながら、私は食べ進める。
実際微笑まれてた事なんて私は気付かなかったけれど。








「「ごちそうさまでした」」

「さて#name2#さん、酔いは覚めてますね?」

「……?はい」


微笑んでくるけれど、その笑顔は果てしなく黒い。安室さん何を企んでいる。


「昨日全部話したとは言いましたけれど、まだ話していない事があるんですよ」

「……はい」

「何故僕が降谷零でありバーボンである事を知っている?」

「っ……!」


一番重要な事を言っていないとは私偉いと褒めたかったが、これは全てを言わない限り打破できないであろう状況まで持ち込まれた。
目の前には机一つ挟んで安室さん。杖は昨日持っていたが、今は無い。
きっと安室さんが持っている事だろう。

赤井さんにも話したし、それにこの人なら大丈夫かなと頭がよぎった。

私赤井さんに話してから随分口緩くなってない……?


「私の存在があなた達にとって本の中のキャラクターであった……ならその逆も、また然りという事です……」

「っ……!それは、」

「私が言えるのはここまでです。すみません」


赤井さんの時と同じように答える。
今はこれしか言えないし言わない。
しかし安室さんは察しが良く理解してくれたようで、まさか……と一人ごちては顎に手を添えていた。


「とりあえず……あなたは敵ではない事は分かりました……疑ってすみませんでした……」

「いえいえ……そんな」

「僕はこれからポアロの仕事があるんですが……その前に送りましょう」

「え"」


それは非常に不味いよ安室さん。
今の私のmy homeに行ったらおまけのハッピー〇ットで沖矢さんついてきますからね、時系列的にどこら辺までお話進んでるか知りませんが会ったらあなた赤井秀一ィイイイイ!!とか言いながら喧嘩しちゃうでしょうに。

嫌だよ私、三十路らへんの殿方同士の喧嘩なんて見たくないよ。
ただでさえ観覧車で喧嘩なんてメルヘンな事してくれたのに……と私は頭を抱えた。
さてどうしたものか。

するとタイミング良くか、安室さんのベッドから何やら電子音が聞こえてきた。

これは携帯……?私の?

存在自体は知っていた携帯の電子音は、安室さんが反応しない事からきっと私のものなのだろうと推測する。
ベッドに行き脱いだ服のポケットの中からスマートフォンを取り出し、相手を見てみた。


「げ」


相手は沖矢さんでした。