既視感は二度起こる


スマートフォンの画面に写る文字は沖矢昴。
沖矢さんあなたいつの間にこんなものを。

というか私、名前は知ってても、


「操作の仕方が分かりません……」


ボタンらしいものは一つもない手のひらサイズの板。画面には沖矢昴の文字だけ。これは何をすれば電話というものができるのでしょうか。
電話自体はした事あるけど、スマートフォンで電話はした事ない……!せいぜい黒電話かなぁあああ!!
もしかして私かなり時代遅れてた……?

一人で焦っていると、それに気づいたのか安室さんはひょいとスマートフォンを私から取り上げた。


「スマホ……使った事ありませんか?」

「電話自体はした事あるのですが……黒電話以来ないです!」

「あなたいつの時代の話をしているのですか……」


やはり時代遅れだったようで。ちくしょう。

安室さんは電話に出ようとしてくれたようで。優しいなぁ。
しかしその優しい顔も、電話相手の名前を見た途端般若になった。


「あむ、あ、安室さん……?」

「#name2#さん?いつの間にこんな奴と……?」

「えーと……これには色々と深い訳が…」

「どうしてだ?」


敬語外れちゃってますよ安室さんー!!!



ブチッ。

何かをぶつ切りにしたような音を立てて、安室さんはスマートフォンをベッドに置いた。

あ、これは切っちゃったんですね。

安室さんの視線が以前痛い。
これがアニメだったら即モザイクだろう。あ、だめ安室さんにモザイクとか意味深になる。ごめんなさいもっと睨んでこないで。


「どういう事ですか#name2#さん」

「私にも一体何が何だか……まさかスマートフォン仕込まれてるなんて……」

「あなた気づかなかったんですか……!?」

「は、はい、まぁ……」


そんな嘆かわしい目で見ないでください安室さん。
何で頭まで抱え出すんですかこっちまで悲しくなってくるよ。


「あなたもう少し警戒心をですね……」

「警戒心ですか……」

「僕も含めですがそんな男に簡単に酔わされるわ持ち帰られるわ、果てにはベッドで一夜を共にするわ……」

「その言い方には大変語弊がありますが!!」

「あなた、まさかあの人とも寝てないですよね?」

「っ……!」


思わずあの時の事を思い出してしまった。
目の前に広がる黒に、薄く開きこちらを見るモスグリーン。

顔が火照る。
両頬を手で抑えてしまい、安室さんが一層顔を歪める。
怖い安室さん。今アニメだったらモザイクかかってるんだろうなぁ。


「寝たんですね……?」

「語弊がありすぎます……!」


その後説明やら誤解を解くやらで一時間程かかりました。


安室さん頑固ですね……!