獣の手綱はしっかりと握りましょう


「さて#name2#さん、行きましょうか」

「……はい?」


安室さんの誤解を解くのに一時間程かかり、やっと解けたと思えばこれ。

主語が無い……!主語が無いよ安室さん……!!!

思わず間抜けな声出しちゃったよ。恥ずかしい。
安室さんは私の声は聞こえなかったのか、また再度行きましょう。と圧をかけてくる。
あ、これ「はい」か「Yes」か「了解」とか、そういう答えをしないといけないやつだ。「No」とか「いいえ」とか言ったらまた般若が降臨する。


「はい……ついていきますどこまでも……」


結果。安室さんは怒らせたら怖い。







「#name2#さん次は何にしますか?」

「……じゃあハムサンドもう一つお願いします」

「三回目ですね、嬉しいです」

「安室さんの作るものは美味しいですから大好きです!」

「熱烈なお返事嬉しいです」

「安室さんの!作るものは!!美味しいから好きですって言っただけです!!」


ただ今安室さんとポアロなう。
どこのJKだちくしょう。
魔女の私だってなうとかJKくらいの知識はあるのよ。セブに言ったら得体の知れないものを見る目で見られたけどな!

行きましょうと言われついていけばポアロ。何故ポアロなのか。それは誰にも、いや安室さんにしか分からない。
アイスコーヒーを啜りながらサンドイッチを待っていたら、安室さんがハムサンドを持って来た。よし来たぞわぁい。


「お待たせいたしました、ハムサンドです」

「ありがとうございます……!」


堪らずハムサンドを頬張ると、安室さんはニコニコとこちらを見てきた。この人見るの好きだなおい。


「何ですか……というか何故私をここに……?」

「今の時間僕シフト入ってるんですよ、そのために#name2#さんについてきてもらいました」

「私いる必要無くないですか…?」


ハムサンドを飲み下し、もう一つ手に取り頬張る。私がいる必要無くないですか。


「何言ってるんですか、邪魔な虫を追い払うためですよ」

「虫……?邪魔……?」


はてなんの事か。少し頭を捻らせてみた。今まで何か癇に障るような事をしたか。


……もしかして。


「沖矢さん……?」

「喧嘩売ってるなら買いますよ?」

「ナンデモアリマセン……」


イケメンがあと一歩で台無しになる程顔を顰めた安室さん。イケメンだからって何しても大丈夫って訳じゃないんだね!
そう言えば安室さん、沖矢さんの事赤井さんだと思ってるんだった……。
いや事実そうだけれど。でもそんな事言えない。はい私お口チャック。

私はハムサンドを食べる事に集中し、話は一旦終わった。
安室さんはお客さんの相手をしに行き、私はつかの間の一人の空間というのを満喫していた。

しかし平和というのは案外簡単に消え去るもので。


「こんにちは#name2#さん、電話も出ずに優雅にお食事ですか?」


鼻からハムサンド出るかと思いました。