
獣の手綱はしっかりと握りましょう
「さて#name2#さん、行きましょうか」
「……はい?」
安室さんの誤解を解くのに一時間程かかり、やっと解けたと思えばこれ。
主語が無い……!主語が無いよ安室さん……!!!
思わず間抜けな声出しちゃったよ。恥ずかしい。
安室さんは私の声は聞こえなかったのか、また再度行きましょう。と圧をかけてくる。
あ、これ「はい」か「Yes」か「了解」とか、そういう答えをしないといけないやつだ。「No」とか「いいえ」とか言ったらまた般若が降臨する。
「はい……ついていきますどこまでも……」
結果。安室さんは怒らせたら怖い。
*
「#name2#さん次は何にしますか?」
「……じゃあハムサンドもう一つお願いします」
「三回目ですね、嬉しいです」
「安室さんの作るものは美味しいですから大好きです!」
「熱烈なお返事嬉しいです」
「安室さんの!作るものは!!美味しいから好きですって言っただけです!!」
ただ今安室さんとポアロなう。
どこのJKだちくしょう。
魔女の私だってなうとかJKくらいの知識はあるのよ。セブに言ったら得体の知れないものを見る目で見られたけどな!
行きましょうと言われついていけばポアロ。何故ポアロなのか。それは誰にも、いや安室さんにしか分からない。
アイスコーヒーを啜りながらサンドイッチを待っていたら、安室さんがハムサンドを持って来た。よし来たぞわぁい。
「お待たせいたしました、ハムサンドです」
「ありがとうございます……!」
堪らずハムサンドを頬張ると、安室さんはニコニコとこちらを見てきた。この人見るの好きだなおい。
「何ですか……というか何故私をここに……?」
「今の時間僕シフト入ってるんですよ、そのために#name2#さんについてきてもらいました」
「私いる必要無くないですか…?」
ハムサンドを飲み下し、もう一つ手に取り頬張る。私がいる必要無くないですか。
「何言ってるんですか、邪魔な虫を追い払うためですよ」
「虫……?邪魔……?」
はてなんの事か。少し頭を捻らせてみた。今まで何か癇に障るような事をしたか。
……もしかして。
「沖矢さん……?」
「喧嘩売ってるなら買いますよ?」
「ナンデモアリマセン……」
イケメンがあと一歩で台無しになる程顔を顰めた安室さん。イケメンだからって何しても大丈夫って訳じゃないんだね!
そう言えば安室さん、沖矢さんの事赤井さんだと思ってるんだった……。
いや事実そうだけれど。でもそんな事言えない。はい私お口チャック。
私はハムサンドを食べる事に集中し、話は一旦終わった。
安室さんはお客さんの相手をしに行き、私はつかの間の一人の空間というのを満喫していた。
しかし平和というのは案外簡単に消え去るもので。
「こんにちは#name2#さん、電話も出ずに優雅にお食事ですか?」
鼻からハムサンド出るかと思いました。
→