獣の手綱はしっかりと握りましょう


着いたのは工藤邸。
そして今は私はソファにいます。
沖矢さんに命じられ正座です。えぇ、これから説教かな。


「#name2#さん?」

「は、はい……」

「何故僕が怒っているか分かりますか?」


笑顔だが威圧的。今の沖矢さんは獲物を狩る獰猛な獣のようだった。
思わず怯んでしまうが、ここで黙っていたらゲームオーバーになりかねない。


「昨日日が暮れる前に帰ってきてくださいって言ったのに……帰ってこなかった事……」

「大方は正解です」

「本当すみませんでした……」


思わずソファの上で土下座をしてしまった。手も丁寧に合わせたよ。
日が暮れる前に帰れないとか小学生より酷いな。初っ端から何してるんだろう私。
住んでも良いと言ってくれたのに申し訳ない。


「……#name2#さん、顔を上げてください」

「うぐ……申し訳ないです本当に……折角住んでも良いと許可をくださったのに……」

「反省してるなら良いです、これからは気をつけてくださいね?」


沖矢さんが私の近くに寄り、片足と片手をソファについてこてんと可愛らしく首を傾げた。

こ、こてんって!沖矢さんがこてんって首傾げた!!かわいい!!なにこれかわいい!!!!


「は、はい……!」


萌えすぎてかわいすぎて興奮しそうだったけど抑えられたぞ。流石だ私。
それにしても、沖矢さんの顔が近い。あと数センチ程度で口と口がくっつきそうなくらい近い。

沖矢さん臭がする……あぁ良い匂い……。

なんて堪能していると、沖矢さんが不敵にニヤリと笑った。


「ただ躾はしっかりし直さないといけませんね?」

「へ……?」


沖矢さんは私の顎を優しく上げたかと思うと、そのまま私の首筋に噛み付いてきた。


「っい"っっ"……!?」

「うろちょろする子猫には、マーキングしませんと」


沖矢さんの歯が少しだけ私の首筋にくい込む。最初勢い良く噛まれたから、きっと痕はついているだろうけれど。

歯をあてがったまま喋られるから、熱い息がかかり胸が高鳴る。

沖矢さんの舌が噛んだ部分を伝った。
ぬるりと舌が這い、その感覚から逃げるようにビクリと身体が跳ねる。
その様子を見て沖矢さんは機嫌が良さそうにクスリと笑った。


「っひ……?!お、おきや、さっ……、」

「抵抗しないでくださいね……?でないともっと痛くします、から……」


シャツのボタンを一つ二つと外され、胸元が露になる。
沖矢さんは何を思ったか、そこに顔を近づけ匂いを嗅ぎ出した。


「おおおあお沖矢さん!!!?」

「彼の匂いがしますね……?」

「っ……!?」

「まさか……?」

「お酒は飲みましたが断じてそういう風にはなってません誓って!!!」


沖矢さんがとんでもない思考になる前に、それを私が制する。
間違っても安室さんとシたなんて事有り得ない。安室さんは酔ってなかったし私にそういう感情は抱いていないし!!!


「安室さんのベッドで寝てしまったので!!彼の匂いがついたのかと!!」

「ホー……彼のベッドで……?」

「誤解ですってば!!!」


ククと喉で笑われ、先程の緊張感はどこへやら、沖矢さんにいじられ腹が立つ。


「まぁ今日はここら辺で許してあげましょう……」

「あ、ありがとうございます……?」


沖矢さんが私のシャツのボタンをつけ直してくれ、ポンと頭に手を置いた。あ、これ撫でられてるの?そして優しいねつけ直してくれたよ。


「あなたは警戒心が無さすぎます」

「は、はい……」

「男性には注意してくださいね?先程のような事に知らない男性となりたいのならば別ですけど……」

「ごめんなさい本当ごめんなさい」


語尾の方に行くにつれて沖矢さんのオーラが私には向けられていないが殺意が湧いていた。怖いごめんなさい。



結果、

沖矢さんも怒らせたら怖い。