パーティーと赤と青とワインと


それから王女のインタビューが始まったが、王女は口を真一文字に結び答えようとせず、代わりに隣にいたキースが喋り始めた。
周りの人達の不思議そうな目が痛い。
人によっては王女様なのに……と冷めた目で見ていた。

遠くの方にいたコナン君は、一人憂いを帯びた目で見ていた。この子はやっぱり分かってるんだな……。


『ではミラ王女、乾杯のご発声を、お願い致します』

「え」


嘘でしょソムリエの人ワイン注ぐの早くない???


「……?#name2#さん?」

「あ、あ、沖矢さ」

「飲んじゃだめだ!!!」


部屋中に響く高めなソプラノ声。あぁ、ワイン事件発生だ。
ソムリエがワインを注いだのを見たあたりから挙動不審な私を見て、沖矢さんは不思議そうな顔で見てくる。


「ごめんなさい、王女様」


あぁ、始まってしまった。


「でもそのワイン、注いでくれたその人に、味見してもらってよ?」


ワイン事件が。テレビスペシャルが。


よし、私は一般人に紛れて逃げよう!!沖矢さんも安室さんも、コナン君も知った事か!!

無責任だけれど、何故か不二子さんに狙われてたから、これが私にとって一番の最善策だと思った。


『み、皆さん落ち着いて!走らないで!危険です!!!』

司会が必死に落ち着かせようとするけれど、焦りや恐怖に拍車を余計かけるだけで。
ホテルにいた人達は蜘蛛の子を散らしたようにあっちこっちに逃げ出した。

人の動きで右も左も上も下も分からず、堪らなくなって手を伸ばす。
すると誰かに手首をしっかりと掴まれた。

沖矢さん……?


「お、沖矢さんっ……!?」

「ざーんねん、眼鏡の人じゃないわよー、私」

「ふ、不二子さっ……!?」

「さ、来て」


さすがと言おうか、掴まれた手首はしっかりと固められて離せそうにもない。これは諦めろというお告げか、そうか。諦めろと!!

不二子さんに連れられ、どこかへ連れられそうになる。
ピンヒールだったのと人の波に飲まれて歩きにくくて、もたもたしてしまった。

すると後ろから、


「#name2#さん!」

「っ……!沖矢さ、」

「あら、あなたのナイト?」

「そ、そんなんじゃ!」

「#name2#さん!」


安室さんもかーい。

ここまで来ると何だか清々しいね!沖矢さんはともかく安室さんあなた何故私を見つけられた!何だ!何か付けてんのか!?


「あ、安室さん!?沖矢さん!?」

「早く!掴まって!」


安室さんに手を伸ばされ、思わず私も手を伸ばしそうになる。
しかしそれは阻む不二子さん。
何でさ不二子さぁぁん!!


「不二子さん!何で私をっ!!」

「あなたに興味があるからよ」


語尾にハートマークが付いたよこれ。
不二子さんは沖矢さんと安室さんに向かってウインクを一つ飛ばすと、もたもたしていた私をとうとう抱き抱え、私の名前を呼ぶ沖矢さんと安室さんの声は虚しく、私と不二子さんは喧騒の中に消えた。