
パーティーと赤と青とワインと
赤井(沖矢)side
突然起こった人の波に、#name2#に回していた手がスルリと取れてしまった。
彼女はそのまま人に飲まれ、俺の視界から消えた。
先程から彼女は挙動不審だった。
何かを探していたような……?
しかしそれに恐れているようでもあった。
その存在が今ここにいて、#name2#と関わりを持とうとしているのならば……?
#name2#に何か起こるかもしれない。そう思うといてもたってもいられなくなり、急いで人混みの中をかき分けた。
やっと#name2#を見つけられた。
少し距離はあるが、すぐに行ける。
その手を掴もうと声をかけた。
が……。
「っ……!?」
#name2#が手を伸ばしてきて、後はもう手を掴むだけだった。
しかし、その手は虚しく空を描き、#name2#は見知らぬ女に抱かれ、
誰だ──そう思ったのも束の間、女と#name2#は瞬きの内に姿形も無くなっていた。
「……チッ……」
沖矢昴ならぬ舌打ちをしてしまう。
もうこんな状況だ、誰しも自分の事に必死。
自分を見ている輩などいないだろう。
隣にいた安室君も、舌打ちをして自分の事で精一杯のようだった。
少し経ち、人混みは段々と消える。
安室君は何を思ったのかスマートフォンを取り出し、画面を見出した。
これは……まさかな。
「ホォー……発信器、ですか……」
「なっ……!?」
一応念の為と彼のスマートフォンの中身を見ると、同じ事を考えていたのか画面には#name2#の居場所が示された地図。
彼も発信器を付けたのか。変な所で似るものだ。
自分のスマートフォンの方にも電子音が鳴り、画面を見てみる。
隣にいる安室君がまさか貴様も……というような目で見てきてすこし笑いそうになった。そうだよ、俺も君と同じさ。
「あぁ、安室さんと同じ所ですね」
「あなたも……」
「用心に越した事は無いでしょう?」
ニッコリと沖矢昴の微笑みをすれば、彼は心底憎たらしいとばかりに睨んできた。彼は本当に素直だ。
二人してエレベーターに乗り込み、目的の場所へと急ぐ。
エレベーターの中で終始安室君が小さく舌打ちしていたが彼は沖矢昴の姿でも嫌なのだろうか。
チン、と目的の場所に着く音がする。
その音を聞いた途端安室君がものすごい速さで『開』のボタンを連打していた。大丈夫か公安。
B3の階の扉が開くと、俺よりも先に彼は全速力で走って行った。
「二人もナイトを振り回してとんだじゃじゃ馬姫だな……」
閉じていた目を開き、喉でくつくつと笑う。
あの安室君を、この俺を、こんなにも必死にさせる。
彼女に振り回され心を掻き乱される。
それが心地好いと思ってしまう自分もいた。
あぁ、俺はおかしくなってしまったのか。
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