追う者と追われる者


沖矢 side


油断した。完全に。

忘れかけてはいたが相手は国際指名手配なのだ。
発信機を見つけ、不自然にならないように外すなど朝飯前だろう。


──峰不二子。


「……こんな時にあそこにもしかけておいて良かった……」


俺はスマートフォンをタップすると、新たな#name2#の位置情報が現れた。
隣で焦ったようにスマートフォンをタップしている安室君を見て、少し口角が緩む。

それに目ざとく気づいた彼は、ぶすくれたようにこちらをジト目で見てきた。
完全に当てつけだ。相手はあの国際指名手配、そんな落ち込まなくても。


「……その顔は、#name2#の居場所はもう分かってるみたいですね」

「……えぇ、行きましょう。どうします?どちらかの車で行きます?」

「いいえ、お互いの車で追いましょう。その方があの女を挟み込む時有利です」

「怖いですねぇ、そんなに彼女が大事ですか?」


赤井秀一が言いたい事と、沖矢昴が言いたいことを混ぜて聞けば、なんとも面白い返答が。


「……あなたには関係ない事でしょう。─少なくともあなた以上に僕は彼女の事を想っています……」


『思っている』、ではなく『想っている』、か。


──こんな短期間で俺らを惹き付けるとは……つくづく彼女は面白い。


緩みそうになる頬を抑えていると、安室君はもう自身の車の中にいた。
窓を開け、早く彼女の位置情報を渡せと叫んでくる。


パーキング中であなたの声が響いてますよ、安室さん。
そう返せば、黙れ赤井!!と返ってきた。


だから今俺は赤井だが赤井じゃない。









不二子さんとハーレー乗り回しがてら数十分。

ただ今公園でございます。
えぇ、皆様お察しの通り、ミラ王女と蘭ちゃんが入れ替わる所を見ている最中です。

トイレの少し近くで聞いてるから、蘭ちゃんの悲鳴がトイレの壁を響かせて聞こえてくる。

あの声ちょっとえっちぃよね。
蘭ちゃんかわいいよ私が男なら、いや男でなくても勃ってた。
心のち〇こがね。ごめん。
心の中の変態な私を必死に殴り潰して仕舞う。


しばらくするとトイレから蘭ちゃん扮したミラ王女が出てきた。

うわぁほんとそっくり……目の色と前髪、くらいかな見た目の違いは……。
思わずほぉ……と感心していると不二子さんに手を取られた。

え、もう追うんですか。


「ほら堪能してないで。行くわよ」

「ぁああぁ王女蘭ちゃん……」

「また後ででも見れ……ないわね」

「ほらやっぱりー……」


我慢しなさい。と母親に叱られる子どものように不二子さんに叱られ、私はハーレーに乗った。
今度はヘルメットをせずノーへルで。


なんでかって?お姫様を自由の身にするための手助けをしに行くのさ!