
追う者と追われる者
沖矢 side
油断した。完全に。
忘れかけてはいたが相手は国際指名手配なのだ。
発信機を見つけ、不自然にならないように外すなど朝飯前だろう。
──峰不二子。
「……こんな時にあそこにもしかけておいて良かった……」
俺はスマートフォンをタップすると、新たな#name2#の位置情報が現れた。
隣で焦ったようにスマートフォンをタップしている安室君を見て、少し口角が緩む。
それに目ざとく気づいた彼は、ぶすくれたようにこちらをジト目で見てきた。
完全に当てつけだ。相手はあの国際指名手配、そんな落ち込まなくても。
「……その顔は、#name2#の居場所はもう分かってるみたいですね」
「……えぇ、行きましょう。どうします?どちらかの車で行きます?」
「いいえ、お互いの車で追いましょう。その方があの女を挟み込む時有利です」
「怖いですねぇ、そんなに彼女が大事ですか?」
赤井秀一が言いたい事と、沖矢昴が言いたいことを混ぜて聞けば、なんとも面白い返答が。
「……あなたには関係ない事でしょう。─少なくともあなた以上に僕は彼女の事を想っています……」
『思っている』、ではなく『想っている』、か。
──こんな短期間で俺らを惹き付けるとは……つくづく彼女は面白い。
緩みそうになる頬を抑えていると、安室君はもう自身の車の中にいた。
窓を開け、早く彼女の位置情報を渡せと叫んでくる。
パーキング中であなたの声が響いてますよ、安室さん。
そう返せば、黙れ赤井!!と返ってきた。
だから今俺は赤井だが赤井じゃない。
*
不二子さんとハーレー乗り回しがてら数十分。
ただ今公園でございます。
えぇ、皆様お察しの通り、ミラ王女と蘭ちゃんが入れ替わる所を見ている最中です。
トイレの少し近くで聞いてるから、蘭ちゃんの悲鳴がトイレの壁を響かせて聞こえてくる。
あの声ちょっとえっちぃよね。
蘭ちゃんかわいいよ私が男なら、いや男でなくても勃ってた。
心のち〇こがね。ごめん。
心の中の変態な私を必死に殴り潰して仕舞う。
しばらくするとトイレから蘭ちゃん扮したミラ王女が出てきた。
うわぁほんとそっくり……目の色と前髪、くらいかな見た目の違いは……。
思わずほぉ……と感心していると不二子さんに手を取られた。
え、もう追うんですか。
「ほら堪能してないで。行くわよ」
「ぁああぁ王女蘭ちゃん……」
「また後ででも見れ……ないわね」
「ほらやっぱりー……」
我慢しなさい。と母親に叱られる子どものように不二子さんに叱られ、私はハーレーに乗った。
今度はヘルメットをせずノーへルで。
なんでかって?お姫様を自由の身にするための手助けをしに行くのさ!
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