女王と姫の救出劇


静まり返る車内。
倒れないように固定したスマートフォンは、規則的な電子音を奏でながら彼女の位置情報を示す。


「沖矢さん、今#name2#はどこに?」

「今は車道を走行中……、……?」

「……どうしました?」


スマートフォンに映る#name2#の位置情報が、車道からいきなりコンビニの中に変わった。

スピード的には車かバイクのはずだが…?


「まさか……」

「#name2#に何かあったんじゃあないでしょうね!」

「分かりません。しかし急いだ方が良いでしょう。少し飛ばします」


車のスピードを上げ、少し荒い運転になる。
俺の後ろぴったりを走っている安室君も、後ろから隣に並んだ。こらこら、そこは反対車線だぞ。
車やバイク並のスピードを上げ、コンビニの中に突っ込んだという事は誰かに追いかけられているという事か……?
あの指名手配犯の峰不二子だ。事故でコンビニに突っ込んだという事はないだろう。

ならば、何故。

そんな事を悶々と考えていると、


「早くしろ赤井イィイイ!!」


スピーカー越しに安室君に怒鳴られた。

だから俺は今赤井だが赤井じゃあない。









「……ふぅ」

「こ、殺しちゃったの…?」

「やだぁ、私そんなに下手じゃないわよ」


イングラム片手に満面の笑みを浮かべる不二子さん。

先ほど追いかけていた王女を暗殺しようとした奴らを私は魔法で、不二子さんはイングラム片手に撃破したところだ。
私の前に座っていた王女は、不二子さんの肩をしっかりと掴み、少し震えていた。

……無理もないか、こんな経験初めてだろう。

国際指名手配犯の不二子さんは当たり前に銃を扱い、私はと言えば銃ではないが杖を使い戦争をしてきた。
しかし王女は、戦争や銃など触れた事すらないだろう。

命を奪う事なんて─


「大丈夫よ、素人相手にヘマしないから」


エンジンをかけ直し、不二子さんは少しだけ怯えている王女を安心させるかのように話す。
さすがは指名手配犯……なんて感心しかけたところ、


「#name2#さん!!」

「…………安室さん!!?」


私の見間違いじゃなきゃ前方からRX-7とスバル360がものすごいスピードでやってくるんだけど、これ幻覚じゃないよね???


「あらぁ、あなたのナイトじゃない」

「ナイトォ!??」


ウフフ、と微笑みながら、不二子さんはこちらに向かってくる車二台を眺める。
良い車ねなんて呟いていて、どこか余裕を感じる。

あと不二子さんナイトだなんてすごく不本意。