女王と姫の救出劇


前を走っていたスバル360を追いん抜き、RX-7が私達の前に止まった。
ものすごいタイヤ擦り切れるんじゃないかってレベルの音立てて止まった。
大丈夫かな車。私弁償できないよ。


「#name2#さん大丈夫ですか!?」

「この通りピンピンしております!!」

「早くこちらへ!さぁ!」

「えっ……」


私の方へ腕を伸ばして安室さんがこちらを見てくる。その必死な顔が、私の胸を大きく掻き回した。
さぁどうしよう。私はソロリと不二子さんを見つめる。
不二子さんは笑っているが、どんな感情をしているのかは分からなかった。ほんとこの人色々とすごいな。

とか思ってたら不二子さん。
何を思ったのかいきなりバイクのエンジンを思いっきりふかし二人の前から逃げました。

え?え?不二子さん逃げちゃうの??


「なっ、ちょ……#name2#!!」

「あ、安室さん!!沖矢さん……!?」


走り去る私達を呆然と見つめる沖矢さんと安室さん。
しかし流石警察と言おうか、すぐに気を取り直し、瞬きの間には彼らはもうバイクの後ろぴったりを走っていた。


「不二子さん!!何で逃げたんですか!」

「んー、面白いから?」

「誰よあいつら!?」

「王女落ち着いてくださいいいい!!!」


楽しそうにバイクを走らせる不二子さんと、敵ではないがこちらを思い切り敵視してくる二人が現れた事に混乱して、盛んに後ろを振り返る王女。

なんだこの状況。カオスかよ。


しばらく大きな一本道を走っていく。と、


「……ん?ねぇ、あなたのファン?」

「え?……あの子っ……!」


なーんか聞き覚えのあるセリフだぞ???

私は恐る恐る後方に目を向ける。と、そこにはコナン君がスケボーに乗ってこちらへと向かっていた。


「コ、コナン君……!」

「あなた知り合いなの?」

「え、えと……」

「#name2#!!」

「名前呼ばれてるわよ?」

「あぁあああああ」


安室さんもコナン君も何故私の名前を呼ぶ!?関わりあるって思われてしまうじゃないか!??
というかコナン君今呼び捨てにしたね!?!!?

その後お話通り不二子さんが角を曲がれば、その前にコナン君は不二子さんの前に待ち伏せしていた。
不二子さんは驚きで目を見開いていたけれど、面白そうに口角を上げていた。
そして案の定私の横にあったシールドになったりした箱のようなもの達は外され、スピードが倍に上がる。

バイクのスピードがぐんぐん上がり、車体が上がったと思ったら川沿いの階段を駆け下りた。

これ地味にお尻痛いな!!

今まで手すりがわりにしていた箱が外され、バランスが取りにくくなった私は振り落とされないように身体を固くする。
階段を駆け下りた直後、目の前にはいつ来たのかRX-7がヘッドライトを光らせていた。

眩しさで思わず私と女王は目を瞑るが、不二子さんは大丈夫なようでそのまま突き進む。
そしてあろう事か不二子さんはRX-7のフロントガラス向かって乗り上げ、そのまま走った。

RX-7を避けず、そのまま乗り上げてしまったのだ。なんという暴挙。あんなお高い車を。
内心ヒヤッヒヤな私を他所に、不二子さんはそのまま安室さんを無視して走り橋の方まで走って行ってしまった。
いやせめて何か言おうよ。


何か後ろからくそっ!って聞こえた気がしたけど幻聴だ幻聴。









コナン side


蘭に扮した王女をホテルに戻すため、俺はスケボーで追いかけた。
一瞬本当に蘭かと思ったのは、ここだけの話だ。それに一瞬だ一瞬。
声かけた瞬間何か違ぇなって思ってたし。分からなかった訳じゃあねぇ。

スケボーで追いかけてみるが、意外と王女の足が速く、足の踏み場が無いほどの裏路地に入られたため、俺はこれ以上の追跡が不可能になってしまった。


「っち……」

「コナン君!」

「あ、安室さん……!?」


後方から車のクラクションが鳴り、そちらを見ると珍しく焦ったような表情の安室さんがいた。その後ろにはこれまた珍しく、沖矢さんの車があった。

どうしたんだあの二人……仲悪いんじゃなかったのか……?

若干訝しげにしながらも、俺はいつもの江戸川コナンを演じて安室さんに寄る。


「安室さん!どうしたの?」

「#name2#さんが大変なんだ!」

「#name2#さんが…!?」

「とにかく今から#name2#さんの位置情報を送るから……コナン君も一緒に……!」

「え、あ、うん!」


勢いでうんと言ってしまった。どうしたら良いんだ。
正直赤井さんと安室さんがいれば#name2#さんなんて秒で見つかると思うんだけど、俺必要ないと思うんだけど。

それよりも王女取り戻さねえと蘭がやばいんだけど。え、俺の意思無視??
じゃ、渡したから携帯で確認よろしく!と言い残して、安室さんと赤井さんの車は制限速度ギリギリの速度で走り去って行った。


「こりゃあ俺も追わねぇと後が怖ぇな……」


仕方ねぇ、と俺はスケボーに乗り、二人のナイトの後に続いた。









とか思ってたら何なんだこのミラクルは!!

#name2#さんの位置情報を追っていたら女の人がハーレーに王女を乗せてるわ、その後ろに#name2#さんも乗ってるわ。

てか、三ケツってなぁ……!
よく今まで捕まらなかったよな……。

なんて思いながら俺はバイクを追いかける。
バイクの女の人は俺を簡単には撒けないと感じたのか、#name2#さんが座っていたすぐ隣に付いているパニアケースを外した。
ガチャンガチャンと金属音と共にそれは俺の所に当然襲ってくる。
けれどこれくらい大丈夫だ、このスケボーをいくら使いまくったと思ってる。
もしスケボーが人なら、俺はこのスケボーを社畜のレベルを超えるぐらい乗り回してる。
俺が社長なら今頃このスケボーにブラック企業だと起訴されてた所だ。

パニアケースを外されたバイクはどんどん速度が上がっていき、それなりに距離を取られてしまった。

くそ、と悪態を付きながら階段を降りていったバイクを追うと──


「なっ……!?」


眼前に光る鋭い光。それが車が放つヘッドライトだと気づくには少し遅れた。
ヘッドライトの光に反射して、周りの夜と混ざり合う白の車体。

それは間違いなく安室さんの車。

安室さんはバイクの前に躍り出ると、道を塞いだ。
俺はやった、と小さくガッツポーズをして、少し安堵する。
このまま行ってたら橋に向かってランデブーしてた所だ。あんな細い所に飛び跳ねるなんて技、あまりしたくは無かったから本当に助かった。安室さんバンザイ。

だが上がったものは落ちるもの。
とでも言おうか、まあ簡潔に説明するとバイクの女の人はあろう事か安室さんの車に乗り上げ、逃げていったのだ。

あまりの事に俺と安室さんは呆然とする。え、何で、あの人何者。いや待ってその前に安室さんの車丈夫だね??仮にもハーレーの重量+女の人三人を受け止めてるのに凹みはしてるけど割と無事だね???
何安室さんの車は安室さんに似てゴリラなの??何なの??


「ってこんな事考えてる暇じゃねぇ…!#name2#さん!!」


スケボーに鞭打ち俺は馬車馬の如くスケボーを走らせ、バイクを追う。
乗り上げられて少し故障した車を走らせ、俺の後ろに安室さんもついてきた。おいおい、俺以上にブラック企業だなあの人。


「コナン君今僕の事馬鹿にしたろ!?」


窓を開けて安室さんが叫んできたけど、俺は何も聞こえてないし知らない。

あーあー、知らねぇ。てか赤井さんどこ行ったんだよ。