「起立、礼。」
「さようなら。」
先生の号令で、生徒達が次々と帰り支度を始める。
休み時間にクラスメイト達に学校についての説明をしてもらったが、この学校は『智育』『体育』の完全なる両立を目指しているため、部活動は必須であるらしい。
ちなみに学校の説明をしてくれたのは男子だ。女子達は先程の幸村達を追いかけていて、名前には目もくれていない。
女友達がいないのは少々痛手だったが、精神的には名前は周りよりも何歳も歳上なため、あまりダメージはなかった。
それにしてもここはリアル花○と考えて良さそうですね……。
リアルF○に、リアルファン女子達……。なかなかに面白いです……。
そして名前は名前で、折角訳の分からない世界に飛ばされてしまったのなら、存分に楽しまないでどうすると吹っ切れた。
今はこうして周りの騒ぎ様を眺めている立場に落ち着いている。
ちなみに今日一日の間で、委員会は図書委員になり、教室の係は今日学校の説明をしてくれた男子からの誘いで、学級委員長補佐になった。
その男子曰く、補佐は女子しか認められず、しかし自分を補佐してくれる女子は全員幸村達を見ていて、クラスをまとめる所ではないとの事。
それならば補佐はいらないと、今まで補佐なしで活動をしていた。
時々ボランティアに男子友達に手伝ってもらっていたらしいが、それでも仕事量は多く活動はギリギリだったとの事。
名前ならしっかりしていて、尚且つあの幸村達に釘付けと言う訳ではないから良い人材だと判断したらしい。
理由はともかくとして、名前はこの世界を楽しもうと吹っ切れたばかりだったので、喜んでその誘いに乗った。
やる事が多ければ多い程楽しめる。それならば用意された船には乗るしかない。
男子に明日から仕事があるから、また明日ねと教室で別れた。
あの男子もなかなかの美形であるが、やはりあの幸村達に夢中な女子達からしたら気に留める気にもならないのだろう。
名前はこの学年の男子達ドンマイ、と心の中で思った。
明日から学級委員の仕事あるのですから、今日は部活見学にでも行きますかね……。
『智育』『体育』の完全なる両立。良い響きではないかとウキウキする名前。
やるならば本気で、全力で。
ローファーを履いて外に出る。そしてまず初めにどこへ行こうかと学校案内のパンフレットを開こうとした。
すると。
「名前!」
「……?……!?に、兄様!?」
校門から大きく名前を呼ぶ声に聞き覚えがあり、ゆっくりと振り向いてみると、そこにはいるはずのない兄がいた。
前に趣味でマグルの世界で買ったと喜んでいた黒色のネイキッドに跨り、手を振りこちらにアピールしている。
それは見間違いでも何でもなく、本物の兄で。
嬉しさに思わず本気で走ってしまい、息切れをしながら兄に近づけば、優しく抱きしめてくれる。
「大丈夫?」
「あ、兄様……何故。」
名前と同じ琥珀色の瞳に、肩程までのプラチナブロンドの髪を無造作に一つ結びにしいる。
耳には右に一つ、左に四つほどピアスをしていて、顔立ちだけを見ればただのチャラ男である。
しかし服装はスーツという、何ともチグハグな格好の兄に、いつもの兄だと安心感を覚えた。
「何故って……あぁ知らないのね。まぁいいや、名前帰りましょう!」
「兄様は……いつも通りですね……。」
身体は男で格好も性格も男であるが、口調だけは女という中途半端なオカマな兄のマイペース通常運転に、安心を通り越して呆れが出てきた。
帰ろう帰ろうと手をぎゅうぎゅう引いてくる兄を制し、今日は部活見学があるからと告げる。
「あら……名前部活なんか入るの?」
「えぇ、この学校の校風の関係で、部活に入らなければならないのです。まぁ私は、その前に入りたいからというのもあるのですけどね。」
暗にそれだから兄様は帰ってくれとアピールしたが、それを聞いて兄はキラキラと目を輝かせ初め、終いには。
「じゃあ私も行くわ!」
となった。
(本当に来るんですか……!?)
(えぇ行くわ!それに先生方には許可は取ったし、バイクも停めてきたもの!笑顔でお願いしますって言ったら、通してくれたわ!イケメンって使い道素晴らしいわね!自分の顔に感謝!!)
(イケメンの無駄使いですね本当……。)
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