康二と電話

向井「奏多くん、奏多くん。……今日の夜、電話してもええかな?」
「いいよ。寝てたらごめんだけど」
向井「それは仕方ないから。ほんなら、帰ったらまた連絡するわ!」

帰り際そんな話をした康二から電話が来たのは23時を過ぎた頃だった。いつも通りビデオがオンになった状態で通話は開始される。

向井「あー、もしもしぃ?」
「もしもーし」
向井「遅い時間にごめんな? まだ大丈夫?」
「ふふ、大丈夫大丈夫。明日早くないし」
向井「なら良かった。奏多くん、今何してんの?」
「ドッキリGP見てる」
向井「えっ、俺出とるやつ?!」
「出てる出てる。風磨くん転ぶの上手だなぁ」
向井「あれ、ほんまにズルい。めっちゃ騙されたもん」
「あ、康二落ちた。ふふ、やば」
向井「もー、俺も奏多くん出とるやつ見よ」
「何見んの?」
向井「クールドジ男子」
「おぉ。ありがとうございます」
向井「おもろいよな、これ」
「面白いよね。漫画読む?」
向井「めっちゃ読みたい! え、持っとるん?」
「あるよ。んじゃ明日持ってく」
向井「おおきに! あ、奏多くん出てきた」
「ふふ、なんか照れる」
向井「しょっぴーも出てきたわ!」

ドラマに集中した康二の視線はじっと先を見つめていた。私はというとカメラに映されたその姿に魅入ってテレビに集中できないでいた。

向井「ちょ、奏多くん、何俺んこと見てんの! 恥ずかしいやん、もう」
「なんか真剣に見てるから、つい」
向井「こっちの俺に気とられとるうちにテレビん中の俺面白いこと言うとるかもしれんやん!」
「それはまあ巻き戻してみるから大丈夫だよ」
向井「そやな、ちゃんと見てな」
「もちろん。……ふぁあ」
向井「んふふ、もー眠い?」

盛大に欠伸をする私を見て康二が笑う。目元がくしゃっって歪むのを見てつられて私も笑ってしまった。

「ん……ふふ、だいじょーぶ」
向井「ほんま? 眠そうな顔してる」
「……してないよ」
向井「ふふ、今日はもう寝よ。俺も寝る!」
「ん、分かったぁ……」
向井「奏多くん、切ってええよ」
「んん……、康二切って」
向井「あかんよ、俺切られへんもん」
「知ってる」
向井「やろ? やから奏多くんが切って〜」
「ふふ、じゃあもうちょっとしたらね」
向井「ん、分かった」

そう言って電話を繋げたままベッドに潜り込む。そして気付いたらお互いすやすやと眠りについていて、電話は朝まで繋がったままだった。



top