翔太くんと喧嘩 A

深澤「奏多何食べる?」
「……玉子とじのおうどん」
深澤「え、それでいいの?」
「……うん」
深澤「俺牛すじカレーにしよっと」

注文とかも全部ふっかがしてくれた。彼は未だに落ち込んでる私をじっと見て、優しく目を細めて笑う。

深澤「今日、俺ん家泊まってく?」
「え……?」
深澤「1人でいたら今日ずっと翔太のこと考えちゃうでしょ?」
「それは……。でも……」
深澤「あ、シナモロールいないと寝れないんだっけ?」
「う……うん……」
深澤「ふふ、んじゃあ、俺が遊びに行ってもいい?」

答えを出すよりも早くうどんが来てしまい、優しい彼は「食べてからにしよ」と話を切り上げてくれた。
心配、されてるのかな。まあたしかに、1人になったらずっと翔太くんのこと考えちゃうのは、自分でも分かることだった。謝りたいけど、上手く言葉が出てこなくて、感情も相まってぐちゃぐちゃになって、泣き倒すかもしれない。

深澤「結論出た?」

私がうどんを食べ終わると少ししてふっかはそう尋ねてきた。私は小さく首を縦に振り「お願いします……」と伝える。彼は柔く目を細めて「りょーかい」と呟いて私の頭を撫でた。片手に伝票を持って席を立つふっかの後を追えば「泊まらせてもらうかんね。こんくらいさせて」と財布を出すことすらさせてもらえなかった。

「ふっかってさ……」
深澤「んー?」
「モテそうだよね」
深澤「いや俺モテてたから。モテそうとかじゃなくてモテてたから」

帰り道、軽く笑いながらそんなことを話す元気も出てきた。ふっかのおかげだ。家へ帰ってそれぞれにお風呂に入って、ふっかには私のTシャツを貸してあげた。

「サイズ、大丈夫?」
深澤「んー、大丈夫。全然着れるー」

まあXLだから着れないことはないと思ったけど、そうはっきり言われると女としてはちょっと複雑だ。私だって全然余裕で着れるんだけどさ。

深澤「お、あいつ本当にいる」

ベッドに置いてあったシナモンを見つけて、ふっかは嬉しそうに笑った。リビングへ連れてきてあげると「大切にしてもらってんだな〜」としみじみ呟いてた。

深澤「あ、そうだ奏多」
「ん?」
深澤「一緒に寝る?」
「えっ」
深澤「あ、真ん中はこいつでいーよー」

私のシナモンをむにむにと弄びながら何気なく呟くふっかに言葉を失った。

深澤「嫌だったらいいけど?」
「……いや、では、ない……ですけど……」

言葉尻がどんどん小さくなっていく。ふっかはそんな私を見て笑いながらシナモンの手を使って私の手に触れた。

深澤「んじゃ、明日も早いし、もう寝よ?」
「う、うん……」

ベッドまで導かれ、真ん中にシナモンを挟んで眠りにつく。私がシナモンを抱きしめると、ふっかはシナモンごと私を抱きしめた。

「近くない……?」
深澤「たまにはいいでしょ。俺も甘えたいの」
「甘える相手間違ってるよ」
深澤「えー? 奏多に甘えちゃダメなの?」
「……ダメじゃない」
深澤「じゃあいいじゃん」
「……本当に甘えてるのは俺の方だよ」
深澤「ふふ。たまにはいいでしょ。甘えれる時には甘えりゃいいんだよ。奏多は甘えなさすぎだから」
「……そんな……こと、ない」
深澤「眠そう」
「ん……、明日、翔太くんに謝らなきゃ……」
深澤「ん、がんばって」
「……うん、がんば……る……」
深澤「ふふ、おやすみ、奏多」

ふっかは子供をあやすみたいに私の髪を撫でた。その心地良さに私はすぐに夢の中へ誘われた。


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