翔太くんと喧嘩 B

ふっかと一緒に仕事へ行ったその日、翔太くんは分かりやすく私のことを避け続けた。声を掛けようとする度に、照くんや阿部ちゃんを連れて行ってしまう。視線を向けただけで強く睨まれて、こっち来んなって顔されて……。ああ、私完全に嫌われてるみたい。

宮舘「翔太と喧嘩した?」
「う……、やっぱり分かるよね……」
宮舘「まあね」
「俺が、翔太くん怒らせた……」
宮舘「翔太の方がムキになってるように見えるけどね」
佐久間「俺もそー思うんだけどぉ、どーしようかねぇ」
「ごめんね。早く仲直りするから……」
宮舘「無理はしないように」
佐久間「がんば! あ、なんかあったら俺話聞くかんね!」

いつもの笑顔を向けるさっくんと優しく微笑む舘様。2人に応援されたけど、でもその話の後、私は翔太くんと話すこともないまま家へと帰った。スタッフさんから話しかけられてるうちに翔太くんは帰ってしまっていたから……。


***


それから2週間。私は翔太くんと一切口を聞けずにいた。ずっと避けられてる。メンバーをはじめとした周りの人達は私たちを静観しているみたいだった。事情を知らない先輩たちからは心配されて後輩からは気を遣われている。……皆に迷惑かけてる。
苦しくて悲しくて切なくて困ってしまう。悪いのは、私なんだけどさ……。

マネージャー「東雲くん、今日ブログ更新だけど進んでる?」
「あ……あぁ……ちょっとだけ、書いたんですけど……全然進まなくて……」
マネージャー「無理に長くしなくても大丈夫だよ?」
「うん……。すぐ送ります……!」

ブログ記事を考えながらも頭の中は翔太くんのことでいっぱいで。つい、翔太くんとのことを書き連ねてしまう。マネージャーさんに内容を確認してもらうと「ん、大丈夫です。頑張ってね」と返事が来た。


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すの日常、今週の担当は東雲奏多です。

今日はね、ちょっとだけ思い出話するね。
僕とその人との出会いはこの事務所に入って最初のレッスンの日。ダンスが上手で、でもめっちゃ睨んでくる人だった(笑)
怖いなって思ったけど、一緒のグループで活動していく中で、尊敬できるところも沢山増えた。
すっごい好きなんだよ。気は合わないけど。


……俺ね、翔太くんと喧嘩したんだ。
それで、まだ謝れてないの。

本当になんでこんなことで喧嘩したんだろうって感じのことで、しょっちゅう喧嘩するんだよね。
目玉焼きに何かけるかとか、そんなレベルのことで。
今回はちょっと違うんだけどね。

仲直りする為の勇気がずっと足りてなかったみたい。
……俺たちの問題に巻き込んじゃって申し訳ないんだけど、ちょっとだけ皆さんの勇気を僕に分けてください。

今から翔太くんのところ、行ってくるね。

今週のブログ、短くてごめんなさい。
いってきます。


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『今どこにいる?』

素っ気なく訊ねた言葉は既読無視されたまま。

『会いたい』
『会って話がしたい』
『見てるんでしょ』
『既読ついてるよ』

連投すれば一言『話すことなんてない』って。話すことしかないんだけど。『会ってから決めてよ』と送りながら、すれ違うジュニア達に翔太くんの場所を聞き続けた。

「あ、樹……! 翔太くん見なかった?」
田中「しょっぴー? 見てないけど、どした?」
「ちょっと探してて……」
田中「ふーん。連絡は?」

無言で首を左右に振ると「見かけたらLINEするわ」って返された。

田中「なんか分かんないけど頑張れ」

肩をぽんと叩いて去っていく樹に「ありがと……!」と返し、先を急ぐ。
てか何処にいんの……! 片っ端から部屋を覗き込んで翔太くんを探す。時々大人の方々やジュニアに変な顔で見られたけど仕方ない。

目黒「何してるんすか?」
「あ、えっと……め、ぐろくん、だっけ」
目黒「はい。探し物、ですか?」
「えーと……、ちょっとうちの渡辺探してて」
目黒「あ。さっきレッスン場の方行くの見ましたよ」
「本当? ありがとう!」

お礼も程々にレッスン場へと急ぐ。翔太くん、まだ居てくれたらいいけど……。


***


「……わ、ほんとにいた」
渡辺「……は?」

事務所中走り回って、ようやく翔太くんを見つけた。目黒くんに教えてもらった通り、場所は私たちが喧嘩したあのレッスン場。
息が整うと少しだけ緊張が走った。煩いくらい心臓が音を立てる。

「話、しにきた」
渡辺「話なんてねえって言ったろ」
「俺にはあるから。……翔太くん、この間は本当にごめんなさい……」

ひどく声は震えてた。情けないくらい弱々しくてこんなんで気持ちが伝わるなんて思えなくて「ごめんなさい!」とまた声を出した。そしたら、今度はびっくりするくらい腹から声が出て「うるさ……」と翔太くんに引かれた。

「……あ、ごめん」
渡辺「んな何回も謝んなくても分かったっての」

目線を合わせてくれないのは、何かしら思うところがあるからなのか、私には分からない。

「……個人のことなのに、口出しすぎたし、勝手なこと言いすぎた」
渡辺「おー……」

上手く言葉が出てこなくて、途切れ途切れになりながら言葉を探す。ぱくぱくと唇ばかりが震えて音にならないもどかしさばかりが募る。

渡辺「……あー、えっと……俺も」

俺も、で彼の言葉が切れた。俺も、何……? じっと翔太くんを見つめれば「こっち見んな」と手で頬を押された。

渡辺「俺も……悪かった……」

ぽつりと零された言葉にひどく驚いた。

渡辺「関係、切った」
「え?」
渡辺「別に、お前に言われたからとかじゃねーぞ。元から、そんくらいの関係だったってこと」
「でも……」
渡辺「デビュー目指すんだろ」
「……うん!」

わしゃわしゃと前みたいに私の頭を撫で回す翔太くん。この2週間の距離感が切なかった分、嬉しくて胸の奥がブワッと熱くなって、目尻から涙が溢れた。

渡辺「泣いてんな、バカ」
「……翔太くんこそ、泣きそうな顔してるよ」
渡辺「……んなわけねえだろ」


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○○○ @xxxxx
え!!??!?!まって!!!!!!

○○○ @xxxxx
フォロワー!!!すの日常見て!!!追記されてるから!😭🙏🏻

◇◇◇ @xxxxx
なべしのすぐ喧嘩するらしいけど今回長かったみたいだね🥲ちゃんと仲直り出来てよかった🥲

□□□ @xxxxx
来週ってなべしょがブログ更新するよね?今回の話するかな?

△△△ @xxxxx
なべしょはそんな話しなさそう

○○○ @xxxxx
奏多くんほんと仲直りできてよかった😭
この数週間でちょっと痩せた感じするし😭
なべしょとラーメンでも行って😭🍜


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