ふっかとゲーセン

深澤「お待たせ」
「待ってないよ、さっきまでメイトにいたし」

連絡があったのは30分程前のこと。意気揚々と池袋まで出てきたらタイミング良くLINEが鳴った。

『奏多暇? 遊ぼ』

それはふっかからの誘いで。『私奏多さん。今池袋にいるの』なんて適当に返したら『30分だけ待っててすぐ行くから』って返された。

そして冒頭に戻る。合流した私達が向かうところはただひとつ。

「今日の狙いは何?」
深澤「決めてないけど新商品は片っ端から攻めたいよね。奏多も欲しいのあったら言ってね」

たどり着いた先は勿論ゲームセンター。ふっかと遊ぶ時はゲーセンはマスト。服とか買いに行くときですら最後にゲーセン行くことが多い。そういう日は結構荷物が多くなって大変だけどやめられないっていう。

深澤「さーて、どこから攻めようかな」
「俺も、何かしようかな」

きょろきょろと辺りを見てみるも、これだ!というものはなかなか見つからない。

「……あ」
深澤「ん? いいのあった?」
「ううん、なんでもない」
深澤「なんだよー。ふっかさんに言ってみなさい?」
「あのシナモン、かわいいなあって」

指さした先にあったのはハロウィン仕様でかぼちゃの帽子を被ったシナモロールのぬいぐるみで。大きなクレーンゲームの台に囚われていた。

「あ、でも俺、大きいクレーンゲーム成功した試しない……」
深澤「よし、じゃあまずあれからいってみるかー!」
「え? 聞いてた? 俺の話」
深澤「大丈夫。俺が取るから」

ぽんぽんと私の頭を撫でて笑うふっか。不覚にもちょっとかっこいいと思ってしまったなんて言えるわけもなくて。

深澤「うん、これならいけそう」

1.2回試しにプレイしたふっかは自信に満ちた表情でそう呟いた。俺は見てることしかできなくて、横で「がんばれ!」とか「あとちょっと!」とかそんなことしか言えなかった。

深澤「あ、いけた」
「ふっかすごい! え、天才じゃん!」
深澤「まあね〜。はい、じゃあこれ約束の」

取り出し口から出てきたシナモンが私へと渡される。柔らかい素材のそれは抱き心地も良くて思わず顔が綻んでしまう。

「一生大事にする。今日から一緒に寝る」
深澤「ふは、奏多かあいい」

くしゃりと笑うふっかに何度も「ありがとう」とお礼を言えば、ふっかは「いーのいーの」ってまた私の頭を撫でてきた。

深澤「末っ子のお願い叶えるのがお兄ちゃんの役目でしょ?」

そう言ってふっかは帰るまでにまたいくつものぬいぐるみを取ってくれた。もちろん、その日の晩から私の隣はいつもふっかが取ってくれたシナモンが陣取っている。


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