さっくんとアニメ鑑賞会
久しぶりのオフ。特にやりたいことも出かける用事もなくて溜まってたアニメやドラマでも見ようかななんて思っていると、ピンポンとインターホンが鳴った。
「はーい……。は? 何で?」
佐久間「来ちゃった! 開けてー」
大きなリュックを背負って玄関に立っていたのはさっくんで。此処で話すのもあれだからとすぐに中へ迎え入れた。
佐久間「AB!見ようぜ!」
「え、まあいいけど連絡くらいしてよ」
佐久間「昨日、暇だったらしのんち行くって言ったじゃん!」
「え、あー……したっけ……」
佐久間「したした!」
「まあ、じゃあちょっと準備するから待ってて」
佐久間「了解でありまぁす!」
準備といっても大したことはなくて。テレビつけてさっくんの持ってきてくれた『Angel Beats!』のBlu-rayを挿入して、あとティッシュとゴミ箱を近くに置いておくってそのくらい。
「ん、おっけー」
佐久間「んじゃ、スタート!」
アニメが始まり口数が減る。集中したいから。いつもこんな感じだから二人とも慣れっこで1話、2話と進めていく。
『俺が結婚してやんよ! これが…俺の、本気だ』
ああ、このシーンはやばい。BGMで流れる『いちばんの宝物』がまた涙腺を緩ませてくる。唇をきゅっと閉じても視界が滲み一筋の雫が頬を伝う。
佐久間「にゃはは、しのやっぱり泣いてる」
「これは何回見ても泣ける」
佐久間「だよね〜、俺も好き」
一度アニメを止めたさっくんは、私の濡れた頬をパーカーの袖で拭ってくれた。よしよしと頭を撫でて少し落ち着くまで待ってくれる。
佐久間「続きいけそう?」
「ん、大丈夫」
深く息を吐いて、再生ボタンを押す。
なんとか最終話まで見終わるとさっくんはいつものごとく熱を持って話し始める。
佐久間「奏多って意外と涙脆いよね」
「ん、まあ、さすがにAB!で泣かない人いないでしょ」
佐久間「んは、たしかに。んふふ、泣いてる奏多も可愛いねぇ」
よちよち、と涙の跡を拭いながら私のほっぺたを触るさっくん。「こら、やめなさい」と言ってもやめてはくれなくて「佐久間さんの特権だもんねぇ、奏多が泣いてるとこ見れんの」なんて話していた。
「さっくんに泣かされたーって皆に電話でもしてみる?」
佐久間「えぇ!? それは困る、絶対ふっかとか照とか飛んでくるじゃん」
「じゃあやめてくださーい」
佐久間「はーい」
ぱっとさっくんの手が離れて「ごめんね」と頭を撫でられた。
「さっくんは俺のこと可愛がりすぎ」
佐久間「俺お兄ちゃんだからすげー奏多のこと甘やかしてんの、んひひ」
「そんなしなくていいのに」
佐久間「いいの、俺がしたくてしてんだから。てか足りないくらいだかんね! もっと甘えてきていいから!」
「ん、ありがとう……?」
佐久間「ずっとずっとそばにいてやんよ!」
「さっくん……、もっかいその回見てもいい?」
佐久間「おっけー!」
アニメからの引用でも、さっくんがそう言ってくれると本当にずっとそばにいてくれるような気がして、なんだかすごく嬉しくなった。口にするとまたさっくんが煩くなるって分かってるから言わないけど、私もその約束が永遠のものになればいいと願った。