叶えたい願いがあった

コンサートが終わったのはあの公演から2ヶ月程経った頃のことだった。彼女と会ったのも2ヶ月前が最後で、日々想いが積もりすぎて恋しさが増した。『久しぶりにドライブでも行かない?』と自分から連絡したのも、俺を気遣って彼女があんまりLINEしてきてくれなかったから。

『私は大丈夫だけど、照くん疲れてない?』
『大丈夫』
『そう? じゃあ行きたいです』
『了解。迎えに行く』

そんな簡単なやりとりだけして車で彼女を迎えに行く。

岩本「久しぶり」
「久しぶり。コンサートお疲れ様」
岩本「ありがと。地方のお土産あるから持ってって」
「え、そんないいって」
岩本「いいの。俺がしたくて買ってきたんだから」
「じゃあ……、有難くいただきます」

花が開くみたいに笑う彼女につられて俺も笑う。目的にはいつもの海に設定して、適当に話をしながら夜の街を走った。

一歩半先を歩く彼女を後ろから追いかける。歩幅を考えれば簡単な事だけど、隣を歩く勇気がないのか、上手くはいかない。途中、彼女が「照くん?」と振り返ってくれて、ようやく隣に並べた。

岩本「何?」
「どこにいるか分かんなかった」
岩本「え、そう?」
「うん。隣にいてくれた方が安心する」

ふわりと彼女が笑うから、居ても立ってもいられなくて、ぎゅっと強く抱きしめた。俺の腕の中でびくりと震える彼女に「あー、ごめん」と軽く呟きつつ、体を離す。

岩本「好きです。名前ちゃんの、笑った顔も怒った顔も俺が一番近くで見てたい。だから付き合ってください」
「え、あの、その……」

口ごもる彼女。でも耳まで真っ赤にして狼狽えてて、それも凄く可愛く見えた。本当はもっとムードのあるところでかっこよく告白したかったけど、もう我慢できなくなったんだよね。好きって気持ちが溢れてキャパオーバー気味になってた。だからすぐにでも気持ちを伝えたかった。

「……はい、よろしく、お願いします」

彼女はそう言って照れくさそうにはにかみながら頭を下げた。そんな彼女の腕をとって、抱きしめる。「好き」と呟いて唇を重ね、言葉にならない想いを贈った。