彼女を嫉妬させてみた!




「どーも、こじ愛称チャンネルのこじこじです。今日は俺のかわいい愛称ちょすに、ドッキリを仕掛けたいと思いますっ」

今日のドッキリは『普段嫉妬しない彼女を嫉妬させてみた』というもの。
名前ちゃん全然嫉妬せぇへんのやもん。俺ばっかり好きみたいで、なんか寂しいやん? だからちょっと嘘つく感じなるけど、名前ちゃんに嫉妬してもらうためにな? やってこうかなって。

「あ、戻ってきたかも」

隠しカメラにそう言ってスマホに目を向ける。ちなみに今回ふっかさん全面協力! LINEの名前をそれっぽい女の子の名前にして「ええよー」と伝えるだけの電話をした。

「ぽっかぽか〜」
「おかえりー」
「ただいまさんっ」

何も気にせず俺の横にすとんと座る名前ちゃん。心の中で、かかったと思ってにやにやしてもうたけど、顔には出さへん。いつもやったらべったりくっつくんやけど、ちらと横を見て体を反らせる。スマホ見せへんように。名前ちゃん、少しは気にしてくれたかな。自分のスマホをちらと見てすぐに戻して、テレビをつけ始める。

「……忙しい?」
「んー、ちょっとな」
「そっか。お酒でも飲もうかな」

カシュッと音を立てて缶が開けられる。適当にふっかさんとなんか、イチャついたLINEしてんねんけど、いつ気付いてくれるかな? そんな風に思ってたら少しして「お仕事?」って名前ちゃんが声をかけてきた。

「……うーん、まあ、そんなとこ」
「ふーん」

俺に肩を寄せてこてんと首を預けてテレビを見る彼女。普段やったら頭撫でたり、俺の方から構いがちなんやけど、今は我慢。ほんまはめっちゃしたいけど、我慢我慢……。

「ねえ、嘘ついてない?」
「えっ」
「こんな時間にお仕事の連絡って、くる?」
「く、来るやろ」
「……ほんと? じゃあ、スマホ見せて?」

酔って勢いついたのか俺のスマホに手を伸ばす彼女。「ダメ」と制止したら「お仕事なら見せれるでしょ?」って静かな声で聞かれた。俺の手が止まった瞬間をついて、名前ちゃんがスマホを奪い取る。

「ねえ、これ誰?」
「あ、それは……」
「ゆきみちゃんって誰? 女の子だよね?」

必死の形相で詰め寄ってくる名前ちゃん。その目には涙が浮かんでいて、唇はきゅっと硬く閉じられていた。

「"ゆきみちゃんかわいい。めっちゃ俺のタイプ。大好き"……」

LINEに刻まれた言葉を読み上げて、ぼろぼろと泣き出す名前ちゃんを抱き寄せると「やだ」と振り払われた。ああ、あかん。やりすぎた。

「なあ、愛称ちょす話聞いて」
「なに、カップルチャンネルやめる? 私とも別れる?」
「そうやない! これ、全部ドッキリやから!」
「は? ……はぁ!?」
「あそこにカメラあんの! んで、これ、俺の友達」

彼女の目の前でゆきみと書かれた子のLINEに電話をかける。そしたらふっかさんが「おー、どうしたー?」と返事をした。

「……え、ふっか?」
「ん、俺ー」
「ふっかさんありがとねー、ほなねー」

ブチッと電話を切って名前ちゃんに向き合う。

「……なぁ、嫉妬した?」
「……へ?」
「俺、愛称ちょすに嫉妬してほしかったんよ。せやから、こんな手の込んだイタズラ考えたんやけど」
「……やりすぎだよ、こじのばか」
「悲しい思いさせてごめんな。泣かせてもうた」
「……許さない」
「えっ」
「ちゅーしてくれないと許さない!!」

ぷん、と膨れる彼女はいつもよりちょっと甘えたがりで、でもそこがかいらしい。触れるだけのキスをしたら「これで終わり?」なんて挑発的なことを言われて。少しして名前ちゃんが「あ」と呟いた。

「以上、こじ愛称チャンネルでしたっ。またね〜」

そう言って隠しカメラの録画を止めた。ここから先はふたりの時間。寂しかった分を埋めるように名前ちゃんの方から俺の唇を奪った。