今日は翔太と雑誌撮影。衣装に着替えてスタジオへ行くと、先にスタジオに入っていた翔太の豪快な笑い声が聞こえてきた。
渡辺「やばいっすね、それ」
「ほんと、いつもこんなで。あ! 宮舘さん! おはようございます」
宮舘「おはようございます、名前さん」
翔太と話していたのは名前さんだった。今日のカメラマン、また名前さんなんだと知れた嬉しさが半分と、翔太と何話してたんだろうという小さな嫉妬が俺の中に渦巻く。
渡辺「え、何? 知り合い? てか愛称さんな?」
「名前って私の本名です」
渡辺「えっ、そうなの? てかそんな仲良いの……?」
宮舘「こないだの雑誌撮影も一緒だったから」
「ふふ、その節はお世話になりました」
渡辺「え、そんだけ……?」
宮舘「こちらこそ。……何の話、してたんですか?」
渡辺「愛称さんの兄貴の話」
宮舘「どっちの?」
「んふふ、下の」
宮舘「あははっ! それ、俺も聞きたい」
きょとんとする翔太を置き去りにして、名前さんの話を聞く。そのうちに緊張が解れて、撮影も始まった。
渡辺「うははははっ」
宮舘「あははっ」
「笑った顔めっちゃ可愛いですね! 凄くええのいっぱい撮れてますよ」
そう言う名前さんもくしゃくしゃに笑っていた。撮影後、写真を見ながら頷く姿は少しだけ康二に似たものを感じて、思わず笑ってしまった。
「何か面白いことありました?」
宮舘「いや、似てるなって」
渡辺「誰に?」
「……おにぃ?」
渡辺「え、涼太、愛称さんの兄貴知ってんの?」
ちら、と名前さんを見る。彼女は小さく頷いて笑った。「翔太も知ってる人だよ」って言うと、翔太は首を傾げていた。
渡辺「全然分からん」
「ふふ」
宮舘「んふふ」
ギブアップと手をあげる翔太。俺と名前さんは顔を見合わせて笑って、名前さんは「改めて自己紹介しますね」と呟いた。
「愛称です。本名は向井名前と言います。奈良育ちでお兄ちゃんが2人います!」
渡辺「向井……? え、え!?」
気付いたのか目を大きく開いて「うそ」と連呼する翔太。それを見て俺たちはまたイタズラが成功した子供みたいに笑った。
「いつも康ちゃん……、あ、兄がお世話になってます」
渡辺「え、まじ?」
「ほんとです」
宮舘「ほんとです」
渡辺「まぁじかぁ……。えぇ……」
「これからも康ちゃんのことよろしくお願いしますね」
渡辺「え、あ、はい。……え、ってことは、さっき話してたのって」
「康ちゃんの話ですね」
渡辺「うははははっ!」
マネージャー「渡辺さん、宮舘さん。そろそろ移動お願いします」
「この後もお仕事ですか?」
宮舘「あ、はい」
「頑張ってくださいね」
宮舘「ありがとうございます」
ひらひらと手を振って彼女と別れた。移動車の中で、翔太が「愛称さんってまじで康二の妹なの?」と呟いた。
宮舘「本当。康二からも聞いたし」
渡辺「まじか、似てねえ……」
ぼーっと空を見つめて、少ししてから翔太が俺を見る。
渡辺「気になってんの?」
宮舘「バレた?」
渡辺「何年幼なじみやってると思ってんだ」
宮舘「康二には内緒ね」
渡辺「言えねえよ」
さすが幼なじみ。まあ、俺も翔太の好み、なんとなく分かるんだけど。お互いに笑いながら次の仕事へと向かった。