宮舘「お疲れ様です」
「あ、こんばんは。お疲れ様です」
くしゃりと笑いながら名前さんが迎え入れてくれた。今日は名前さんの選んでくれた店で2人きりの食事会。向かい合って座るだけで心臓が高鳴る。
「何、飲みますか?」
宮舘「じゃあ、ビールで」
「じゃあ私もそうしよっと。あ、好きなの選んでくださいね。おすすめは馬刺しです!」
宮舘「じゃあそれ頼みましょう。他にも、名前さんの好きなの頼んでください」
「いいんですか? それじゃあ……」
注文して暫く他愛もない話をしているとすぐにビールが届いた。「乾杯」と2人でグラスを傾けて笑う。
ごくりと喉を潤していると、早々に食べ物も届いた。ぱぁっと顔を明るくさせる名前さんは、手早く髪ゴムで自身の髪を縛った。わ、ポニーテール。不覚にもきゅんとした。
食事も話も進んでいく中で、俺の視線はずっと彼女を捉えていた。時々ふと彼女と視線が合う度にふと笑えば彼女もくしゃりと笑った。
「私の顔、何かついてました?」
宮舘「いいえ。ただ、好きだなって」
「え?」
宮舘「名前さんのことが好きです。俺と付き合ってくれませんか?」
連絡先を聞いた時みたいに彼女の目がぱちぱちと瞬く。そしてすぐにくしゃくしゃと顔が綻んで、瞳が潤んだ。
「……はい、よろしくお願いします!」
宮舘「ふふ、ありがとうございます」
ぱちぱちと目を瞬かせながら、小さく息を吐く彼女。「嬉しい……」と小さく呟いて、幸せそうに笑う彼女が愛おしくて、慈しみを込めて見つめる。
「あ、康ちゃんには、その……内緒にしててくれませんか?」
宮舘「え?」
「だって、恥ずかしいじゃないですか。だから、ね? お願いします」
宮舘「ん、分かった」
子供みたいに指切りをした。ほろ酔いの彼女を家まで送り届けて俺も帰ろうと踵を返す。すると、後ろからぎゅっと抱き締められた。
「明日、早いですか?」
返事をするよりも早く1本の電話が俺たちの間を隔てる。電話は名前さんにきたもので、相手は康二。いや、タイミング考えてよって思ったけど、毎晩のように電話してる2人のことを考えると仕方ないかとも思った。
宮舘「今日は帰りますね。おやすみなさい」
「あ……、おやすみ、なさい」
ぽんと彼女の髪を撫でて、後ろ髪を引かれる思いで帰路へ着く。本当は今すぐに抱きしめて、キスしてしまいたいとすら思っていたけれど。