エンゲージリングに口付け

彼女が卒業コンサートを終えて1年と数ヶ月が経った。少しずつ女優としてのお仕事も増えてきてるらしく、忙しない日々を送っていた。

『今から帰るね!』

そうLINEがきたのを見て、料理の仕上げに取り掛かる。今日はちょっと気合いいれて伊勢海老とか買って捌いてみてる。名前の誕生日だから。ケーキも用意して、ちょっとだけムードがある感じに飾り付けまでして。
鍵が開く音がして、玄関へ向かう。「ただいま!」と笑う彼女が愛おしくて抱きしめて「おかえり」って返す。

「わ、なんか凄い飾り付けしてある!」
目黒「今日、名前の誕生日でしょ?」
「覚えててくれたの!?」
目黒「覚えてるよ。てか恋人の誕生日忘れないでしょ」
「たしかに、それもそっか」
目黒「お誕生日おめでとう、名前」
「ありがとう、蓮」

またぎゅっと抱きしめて唇を重ねた。止めらんなくなりそう。今日のメインはこれだけじゃないのに。

目黒「ご飯にしよっか」
「うん!」

丹精込めて作った料理を振舞ってケーキも食べて、満腹になった彼女と一緒に風呂に入って髪を乾かしてあげる。されるがままで照れくさいのか「今日、どうしたの?」なんて笑う彼女の首筋にひとつ、キスを落とした。

目黒「名前、こっち向いて」
「ん?」

俺の股の間に座っていた彼女を振り向かせて、向かい合うように座り直してもらう。

目黒「これ、誕生日プレゼント」
「えっ」
目黒「左手貸して」

そう言って彼女の手を取り、指輪を嵌めてあげる。

目黒「結婚してください」

本当は家じゃなくてもっとムードのある旅行先とかでしたかったって気持ちも無くはないけど。ぴったりと嵌った指輪をじっと見つめる名前。ぴくりとも動かなくてちょっと心配になる。「名前……?」と名前を呼べば、ぱっと俺の方を見て「蓮……!」と泣きそうな顔で笑った。

「心臓止まるかと思った……!」
目黒「それ、俺の台詞。返事は?」
「不束者ですが、よろしくお願いします……!」

付き合う時と全く同じこと言ってたせいで思わずふっと笑ってしまう。でもあの頃、結婚の挨拶みたいって思ってたのが今現実になってて、それがどうしようもないくらい嬉しくて、少し強めに彼女を抱きしめた。






キャスター「えー、たった今入った情報です。Snow Manの目黒蓮さんと、元日向坂46で女優の阿部名前さんが結婚することを発表されたということです。こちらにそれぞれの事務所から当局に宛てられたFAXがございますので代読致します」