今日はAERAの撮影。天気がいいから外行こって話になって、ふらりと街中を歩いてみる。少し奥まった道へ足を進め、その先の景色を写真に収めていった。
こっからがええかな。いや、こっち? あー、ここからのアングルとかええかも。そんなことを考えながらシャッターを切っていく。そしてその先で、目を奪われた。
気づいた時にはカメラを構えていて、シャッターを切っていた。レンズの中に閉じ込めた一瞬。目の前には名前も知らない女性。指が止まらんかった。最高の被写体を見つけたんやと思った。……一目惚れやったんとちがうかな。
「……あの」
向井「あ、はい!」
「今撮ったの、見せてもらえますか」
え、もしかして俺盗撮犯と間違われてる? 今をときめくSnow Manのメンバーなんやけど。うわ、自分で言っといて恥ずかしなってきた……。すんません……。
俺よりほんのちょっと小さい彼女が、じっと睨んでくる。恐る恐るカメラの中に残る写真を見せれば、その表情はさっきと一変した。
「……綺麗」
向井「え、ほんま!?」
思ってたんと違う言葉が返ってきたんと、自分の写真を褒められたことで嬉しなってつい聞いてしまった。彼女は少し眉を下げて「怒る気失せるくらい」と呟いた。
「この写真データ貰えませんか?」
向井「えっ」
頭ん中でもう1人の俺が「チャンスや!」と叫ぶ。震える手を抑えてスマホを差し出した。
向井「あ、あとで……LINEするのでも、ええですか」
「大丈夫です。その代わりちゃんとくださいね」
彼女の言葉に何度も首を縦に振る。LINEに刻まれた"名前"の文字を見て、初めて彼女の名前を知った。遠くで「ねえ! ねーえ!」と彼女を呼ぶ声がする。見ればそこにはまだ幼い子供がいた。……え、子持ち? 結婚しとんの? 「今行くから」と彼女が駆けていく姿を見つめながら、出会って数分でもうこの恋心に終止符を打たないといけないのかと深めのため息を吐いた。