緊張なんて吹きとばせ

事務所に戻ったらさっくんとふっかさんがおった。2人を気にせず俺はさっき撮った写真を見返す。そしたら後ろからさっくんがひょっこり顔を覗かせて俺の写真を見た。

佐久間「え? 名前じゃん」

思わず振り向いてさっくんの顔を見た。真ん丸の瞳がくしゃと細められて「いいなぁ〜」なんて呟いとった。

向井「……え? さっくん知り合いなん?」
深澤「俺も知ってっけど」
向井「ええ!? ふっかさんも!?」
佐久間「てか他のやつらも知ってるよ」
向井「え、そんな有名な人なん?! どうしよ、俺」
深澤「有名ってか……まあ、有名っちゃ有名だけど」
佐久間「翔太の妹だから」

さらっと流された言葉に目が飛び出しそうなくらい驚いた。え、嘘? ほんまに? しょっぴーの妹なん? えぇ!?

向井「嘘やん」
佐久間「嘘じゃねーよ!」
深澤「てか何これ。盗撮?」
佐久間「普通の警察逮捕ー!」
向井「ち、がわん……」
深澤「違わねえのかよ」

さっきの出来事を思い出しただけで、頬が熱くなる。そんな俺を見てにやにやするふっかさんと、きょとんとするさっくん。ここで分かりやすく恋愛偏差値が出とるような気がした。

向井「でも、綺麗って、言ってもらえたから」
深澤「名前に?」
向井「おん……」

よし、とふっかさんが立ち上がった。

深澤「なあ、康二。名前と飲み行かね?」
向井「え!?」
佐久間「ええ!?」
深澤「なんで佐久間が驚くんだよ」
佐久間「いやだってぇ! てか翔太にバレたらやばいんじゃないそれ」
深澤「大丈夫大丈夫。俺は康二の味方だから」

そう言ってウインクするふっかさんが今日はやけに男らしく見えた。首を縦に振ると、ふっかさんはすぐにどこかに電話をかけた。

深澤「おー、俺俺。は? 深澤辰哉だよ! てかさぁ、お前今日暇? 飲みいかね? いや、サシじゃねえよ。てか俺もお前とサシは無理。うちのメンバー連れてくから。え? 翔太じゃねえって。てか何が楽しくて俺が渡辺兄妹と飲まなきゃいけないわけ。ん、ん、おー、ちょっと待って」

ふっかさんがこっちを見る。スマホから口元を離して「なあ、だてさんも一緒でもいい?」って。え、嫌ちゃうけど、でも、なんで舘さんなん? とりあえず頷くとまたふっかさんはスマホの向こうの彼女に声をかけた。

深澤「ん、じゃ住所LINEするから。ん。はーい、じゃあね」

電話を終えてふっかさんがにやりと笑う。

深澤「仕事終わったら康二んちな」
向井「え!? なんでなん!?」
深澤「いや、名前んち行くわけいかないし、だてさんも俺も分かんの康二んちしかないから」
佐久間「うわ、康二がんば〜」

そんな話をしてるうちにマネージャーさんが迎えに来てくれて次の現場へ向かう。なんやろ、今からめっちゃドキドキしててあかんな。