拗ねてる顔を可愛いなぁ

相変わらずの押しまくりで仕事を終えた俺とふっかさんとだてさん。だてさんには名前さんから話がいってたらしく「聞いてるよ」と軽く返事をされた。マネージャーさんに近所で下ろしてもらってスーパーで買い物をして、家へ帰った。んで、今度はだてさんが名前さんに連絡しとった。「何食べたい?」とか、カップルかって思ってまう。……てか、名前さんって子持ちなんやないの? 酒飲みに来てええの……? 今更やけど急に不安になってきた。

ピンポンとチャイムが鳴ったのはだてさんの連絡から30分くらい過ぎた頃。「康二出て」と言われて出れば「……部屋、間違えたかもしれません」と真っ直ぐに言われた。

深澤「何言ってんだよ名前。始めてんぞ〜」
「え、ふっかいんじゃん。最初から出てきてよ」
深澤「だって家主じゃないし俺」
宮舘「名前、いらっしゃい」
「涼にぃ、あれ作ってくれた?」
宮舘「今作ってるとこ」
「やった、楽しみ」

とりあえずリビングに来てもらい適当に座ってもらう。人見知りの俺は上手く話せんくて傍におるしかできんけど、ふっかさんがええ感じにまわしてくれてる。

深澤「んじゃかんぱーい」
「「かんぱーい」」
宮舘「俺まだ作ってんだけど」
「なんか手伝おうか?」

缶ビールを片手にだてさんのとこに行ってしまった名前さんの後ろ姿を眺めながら酒を煽る。ふっかさんから「見すぎ」って笑われたくらい。

宮舘「名前、ビール飲めたっけ」
「うーん、飲めなかった」
深澤「飲めないのになんで選んだんだよ!」
宮舘「そこ置いといて。後で俺が飲むから」
「ありがと、涼にぃ」

そんなふうに話をする2人ははたから見たらカップルで、ただただ羨ましく思った。……嫉妬? そんなんとちゃうよ。……違うと、思う。

深澤「名前は背伸びしないで甘いのからなー」
宮舘「はい、名前用」
「え、なにこれ凄い。ありがと、涼にぃ」

とん、とテーブルに置かれたのはグラスに入った赤いサングリア。氷の代わりに冷凍のフルーツが入ってて、めっちゃ美味しそうなやつ!

深澤「まじ幼なじみやばいわ」
「涼にぃが一番私の事分かってるね〜」
深澤「翔太は?」
「おにぃ? ないね、絶対」

断言しつつ、ぐいと酒を煽る名前さん。ふっかさんとだてさんがけっこうな音量で笑っとった。

「てかさぁ、今日なんで私呼ばれたの? 知らない人いるし」
深澤「こいつ?」
「そう。はじめまして」

え、今朝会ったんに覚えとらんの……? それはさすがに辛すぎる。しゅんとする俺を見かねてふっかさんが「え? てかお前もしかしてまだメンバーの顔と名前覚えてないの?」と呟いた。

「え? 覚えてるよー。おにぃに涼にぃでしょ。照くん。えーと、佐久間くん、阿部くん。あと……め、めぐ、目黒、くん?と、ラ、ラザニア、じゃなくてなんだっけあの子。ハーフのイケイケくん?」
深澤「ラウールな。以上?」
「以上」
深澤「……Snow Man9人組なの分かってる? 俺とこいつ、向井康二が抜けてる」
「え、ふっかジャニーズだったの?」
深澤「どっからどう見てもジャニーズだろ!」
「んで、えと、むかい、さん? はじめまして」
向井「は、じめ、まして……!」

俺も緊張して、はじめましてなんて言ってしまう。公園で会ったのに、口ごもって、んでなんか言おうって思ってようやく口から出たんは「今日、お子さん預けてるんですか……?」って質問で。ふっかさんもだてさんも名前さんもこえをそろえて「え?」と驚いた反応を見せる。

「……え、ふっか子供いたの?」
深澤「俺じゃなくて名前だろ」
「私?」
向井「今朝、公園におったやないですか。女の子と一緒に」
「……あ。ああ! 今朝の写真の人だ」
深澤「え、今?」

ようやく俺のこと思い出してくれた。それだけで嬉しくてくしゃりと笑った。事情を知らない舘さんだけが「何?」と言っていた。

向井「今朝公園で会ったんよ」
「会ったっていうか、盗撮されたというか」
宮舘「なにそれ。はい、だし巻きとローストビーフ」
向井「なんやのその和洋折衷!」
「涼にぃのだし巻き! いただきます!」

ひと切れ口に含み「あっつ……、あ! 美味しい!」と笑う彼女。なんやの、めっちゃ可愛いやん。もうやだ。人妻怖い!

深澤「んで子供って何?」
「ん? ああ、友達の子供。急に仕事入って保育園行けないから預かってって言われて、昼間だけだったんだけど遊んでたんだよねー」
向井「え、そうなん!? 良かったあ……」

俺の一目惚れ、まだ玉砕しとらんかったみたい。ほっとひと息つくと共に酒を飲み干して、次のに手をつける。

「あ、そうだ。向井さんあの写真ください」
向井「え、今? ちょっと待っとってください」

アルコールのせいで少しふらつく体を起こし、PCにデータを取り込んでそこからLINEへ転送する。

「きた。……ふふ、やっぱり綺麗」
宮舘「見せて」
「ん」
宮舘「へえ、凄いね」
「これ、どこか載せたりしませんよね?」
向井「しません! 神に誓って!」
「じゃあSNSのアイコンにしよーっと。いいですか?」
向井「え、あ、大丈夫、ですけど、え、ええの?」

え、そんな簡単にやっていいもんなん? びっくりしとる間に彼女はInstagramとTwitterのアイコンを変更していた。うわ、ほんとに俺が撮ったやつになってる。

深澤「お気に入りじゃん」
「すっごい気に入ってる」
深澤「良かったなー、康二」

嬉しすぎて声が出ない。口をぱくぱくさせて、言葉を探す。そしてようやく何かを見つけた。

向井「す、好きです!」
「え?」
深澤「お前、急すぎ」

ふっかさんだけやで笑ってんの。だてさんもびっくりして名前さんと顔見合せとった。俺かてこんなん言うつもりやなかったのに。理性が上手く働いとらんというか、なんか言わんでいいこと言ってもうて恥ずかしい。

「ごめんなさい」
向井「そんな丁寧に謝らんといて!?」

やけ酒や、もう。幸い、ふっかさんが喋っとってくれるし、名前さんは全然けろっとしてるしで、気まずいのは俺だけ。ぐい、と酒を煽り、酔いで全て忘れてしまおう。