素敵なお花に目移りしそう

1週間。あっという間に過ぎたけど、まだ名前さんから返事はない。もやもやした気持ちを抱えながらテレビ局を歩いてると、視線の先に名前さんを見つけた。横顔むっちゃ綺麗。声、かけようと思って、固まった。……あれ、照にぃやん。申し訳ないと思いつつも気になってしゃーないから、物陰に隠れて聞き耳を立てる

「照くんまた筋肉ついた? ムキムキくんだね」
岩本「なにそれ。名前は痩せたね」
「まぁ……」
岩本「相変わらずご飯食べてないの」
「……ちょっとは食べてるよ」
岩本「ちゃんと食べなさい」

わしゃわしゃと名前さんの髪を撫でる照にぃの顔、好きって書いてあるみたい。名前さんもやん。……本当はお互いまだ好きなんとちゃうの。

岩本「SNS、見たよ。なんか、すげー綺麗に撮られてて、ちょっと嫉妬した」
「……誰に?」
岩本「カメラマンにも、あの写真見てるファンにも」
「……照くんだって、可愛いの、撮ってもらってたじゃん」
岩本「え?」
「アクリルスタンド」
岩本「……見たの? てかかっこいいじゃないの?」
「可愛い」
岩本「……やだ、かっこいいって言って」
「はいはい、かっこいいよ」
岩本「言わせてるみたいじゃん」

2人の世界って感じや。2人とも幸せそうに笑ってて、なんていうか、お似合いなんよ……。
ああ、やっぱりお互い両思いやん。俺の出る幕なし。そんなふうに思わずにはいられない。いたたまれなくなってその場を後にしたら、楽屋に着いた頃、俺のスマホが鳴った。……名前さんからLINEが届いた。

『いえ、こちらこそすみません』

短い文章。ああほんま俺嫌われたかも。どうしよ……。楽屋で唸ってたら照にぃが「何してんの」と俺を笑った。

向井「照にぃ……」
岩本「何?」
向井「……照にぃは、ううん。なんもない」
岩本「なんだよ」

さっき名前さんにしたみたいに頭を撫でられて、なんともいえない感情が胸を襲った。いやや、こんなもやもや。もう全部すっきり忘れられたらええのに。

『この間の写真、まだありますか? あったら送っていただきたいです』

あとから来た言葉に、少しだけ気持ちが明るくなった。脈アリとかナシとか今はそんなんどうでも良くて、写真だけでええから、俺と名前さんを繋ぐ何かがあるのが嬉しかった。


それから数日後、名前さんから送られてきたLINEに気が動転して思いきり顔面にスマホを落とした。

『今度ご飯行きませんか』

なんでかは分からんけど名前さんがそんな連絡してくんのが嬉しくて、でも驚きも強くて、とにかく手が震えた。

『空いてる日あったら教えてください』
『いつでも! いつでも大丈夫です!』
『じゃあ来週、どうですか?』
『大丈夫です!れ』

もうなんなん。変なん入ってもうた。かっこつかんなぁ、ほんと。でも名前さんと会えんのがどうしようもなく嬉しくて、カレンダーアプリに速攻予定を書き入れてハートまで付けて、分かりやすく幸せモードを醸し出してもうた。