私の気持ち、伝わってません?

付き合い初めて1ヶ月。特に変わったことは、これといってない。強いて言うなら、何日かに1回、LINEをするくらい。「毎日は無理」って最初に言われたし俺も仕事柄すぐ返事出来んからそこは仕方ないってことにした。今日、こんなん撮ったとか、こんなことしたとか、俺から一方的な報告することもあれば、名前さんから、ちびと遊んでるって友達の子供さんとの写真を送ってもらえることもあった。

向井「……めっちゃ会いたい」
深澤「何? とうとう付き合うことになった?」
向井「お試し期間やけど」
深澤「お試し?」
向井「ん。3ヶ月なんやけど」
深澤「お、意外と長いな」
向井「せやけどもう1ヶ月経っとるんに全然会えんのよ。なあ、どうしたらいいと思う?」
深澤「会いに行きゃいいんじゃねえのと言いたいとこだけど、それで撮られたりしてもやばいしなー。雑誌の撮影とかで時間被んの狙うとか?」
向井「それや! ちょっと予定聞いてみる!」

すぐにLINEをする俺を横目に「健気だねぇ」と呟くふっかさんの声はどこか少しだけ遠くに聞こえた。

『今日はもう雑誌の撮影終わったけど、これからTBS行くよ』
『ほんま!? ならちょっとだけ会いたい』
『着いたら言えばいい?』
『うん! お願いします!』

向井「会える……! やっと……!」
深澤「はいはい、良かったなー」


数十分後『着いたー』ってLINEがきて、一目散に楽屋を出た。どこにおんのかな、きょろきょろしながら歩いとったら不意に「おはよ」と声を掛けられた。

向井「お、おはようさん……!」

くい、と腕を引かれ、人目につかないところへ移動させられる。「……抱きしめてもええ?」って恐る恐る尋ねれば「だめって言ったら?」なんて返された。

向井「……いじわる、せんといて」
「ん」

名前さんの方から俺のことぎゅうってしてくれた。抱きしめ返して、包み込むようにして、逃がしたくない、離れたくないって、口に出せないわがままを体現した。

「はい、終わり。私そろそろ行かなきゃ」
向井「ん……、今日の夜、忙しい……?」
「分かんない」
向井「時間あったら、電話したい」
「ん。考えとく。じゃ、康二くんも頑張って」

ぽんと頭を撫でて彼女は俺の前から去っていった。……てか今康二くんって、康二くんって呼んだ!? うわ、どうしよ、めっちゃ嬉しい……!
ぽぽぽ、と赤くなる頬。にやける口元を抑えながら楽屋へと戻る。機嫌よく帰ってきた俺を見てふっかさんが「良かったな」と笑ってくれた。