どんなに隠してもだーめ

深澤「今月でお試し終了だろ? どーなってんの」
向井「どうもこうも、相変わらずよ。時々電話したりLINEしたりするけど、会うたんは数える程しかないなぁ」
深澤「それでどーなってんの」
向井「嫌ではないって、言うとったけど。……俺のこと、好きになれたら、幸せだっただろうなって、言われて」

まだ照にぃのこと引きずっとるんやと思うって言葉は飲み込んだ。前に撮った彼女の写真を眺めながら溜息を吐けば、誰かが俺の頭をくしゃりと撫でた。

向井「……照にぃ」
岩本「何悩んでんの……、あ」
深澤「あ」
向井「え、あ」

見られた。完全に見られた。「好きなの?」って、ただ一言それだけ聞かれて、小さく首を縦に振る。

岩本「そっか」

それだけなん? だって、自分も好きなんやろ……? そう言いかけて言葉を噤む。

向井「照にぃ……」
岩本「もう終わった話だから」

俺の頭をくしゃくしゃと撫でて「がんばれ」って。それじゃ何も分からん。立ち上がって照にぃを見る。

向井「もう、好きじゃないん……?」
岩本「……好きじゃないよ」
向井「……嫌いなん?」
岩本「嫌いでもない」
向井「ならなんなん」
岩本「……大切なんだよ。だから、幸せになってほしい」

前に、名前ちゃんも同じこと言っとったなぁ。お互いにお互いの幸せを想ってる。それやのに、自分たちでは幸せにすることはできないと悟ってる。切なくて、苦しい。鼻の奥がつんとした。

深澤「泣くなよ、康二」
向井「泣いてへんよ」
岩本「俺が泣かせたみたいじゃん」

くしゃくしゃと笑うふっかさんと照にぃに慰められながら、俺は覚悟を決めた。