きっかけはなんだったかな。……たぶん、泣いてる名前を放っておけなかったから。
彼女は18歳の春に、彼に告白した。……彼というのは、俺と同じグループに所属するメンバー。名前にとっては、兄と同じグループのひとり。……まあ、俺もそのうちのひとりに当てはまるんだけど。
阿部「名前?」
「阿部ちゃん……?」
阿部「もう暗くなるし、早く帰らないとふっかも心配するよ?」
「……ん、そーだね」
阿部「送るから、ね?」
半歩先を進む俺。その後ろをとぼとぼとついてくる名前。少しだけ歩く速度を落として、隣に並べば「あのね」と彼女が話し始めた。
「……私、涼太くんが好きなんだ」
阿部「え? だてさん?」
「うん……。それでね、告白したの。……振られたけど」
阿部「あ、そうなんだ」
「でもね、私諦めない。涼太くん好みの女の子になりたい。……阿部ちゃん、こんなこと頼むの、あれだけど……、協力、してくれない、かな?」
阿部「うん。いいよ」
「ありがとう」
ずっと泣いてた彼女が、少しだけ明るい顔を見せた。その顔が忘れられなくて、7年経った今でも彼女の話を聞いている。慰め役兼相談役のポジションに座り続けている……。