聞いて聴いて効いて

それから数ヶ月。特にこれといった大きな進展もないまま、たまに彼女の家でご飯を食べて帰るっていう緩い関係が続いてた。
それなのに今日は違った。『今日時間ある?』って突然すぎるLINEに戸惑いつつも返事をしたのは昼間の話。なんだろう、と思いつつ彼女の家のインターホンを鳴らせばすぐに彼女が出てきて「急にごめんね」と呟いた。

阿部「何かあった?」
「ううん。……あ、用はあるんだけど、とりあえず入って。ご飯食べよ」

もう何度目かになる名前の手料理。せっかく出してくれたのに、今日は何故か喉を通らない。

阿部「ごめん、やっぱり先に話聞いてもいいかな……?」
「え、あ、うん……」

箸を置いて、名前が姿勢を正す。つられて俺も正座した。

「……やっと、少しずつ、気持ちに、区切りがついてきたと、言うか……」
阿部「え?」
「だから、その、涼太くんへの気持ち。……少しずつ、少しずつだけどね。今までさ、毎日、涼太くんのこと考えてたんだよ。その時間が、今はね、ちょっとずつ、阿部ちゃんに、変わっていってる。変わり身早すぎって思われるかもしれないけど……」
阿部「思わないよ。むしろよっしゃー! って感じだから」
「なんで?」
阿部「だって、好きな子がようやく振り向いてくれそうだもん。嬉しい。あぁ、よかったぁ〜」

ほっと安心したらなんだか急にお腹がすいてきた。くぅ、と小さく鳴った音は名前にも聞こえてたみたいで笑われた。