マネージャー「深澤さん、ちょっといいですか」
深澤「何?」
YouTubeの撮影後、マネージャーから手招きされて呼び出された。無人の会議室には滝沢くんが待っていた。
深澤「え、滝沢くん。お疲れ様です」
滝沢「お疲れ。急に呼び出して悪いね」
深澤「いや、全然!」
滝沢「単刀直入に聞くけど、深澤、今彼女いる?」
深澤「え、あ、はい……。います……」
滝沢「宮舘の妹と付き合ってるんだっけ?」
深澤「……あ、はい」
滝沢「じゃあ、この子は?」
出されたのはA3の紙。そこには、俺のあることないことが書かれていた。……このA子さんっての、セフレだったあの子じゃん。
深澤「あ……。この子とも、関係を持ってました。名前と、宮舘の妹と、別れて、より戻す前に、少しだけ」
滝沢「そうなんだ。書いてあることは?」
深澤「えっと……殆ど嘘ですね」
滝沢「そうか。この記事差し止め出来なかったから、深澤やSnow Manにとってはちょっときつい日が続くかもしれない。事務所としては、全面的にお前のこと守るから、それは安心してほしい。ただ、彼女のことはお前が守れよ」
深澤「……はい」
それだけ話をして家へと帰る。『今日、俺ん家来てくんない?』と名前にLINEを送り、どうしようかと頭を抱えた。
暫くして、ピンポンとインターホンが鳴った。「はい」と返事して開ければそこにいたのは、名前じゃなくて、くだんの彼女。
「久しぶりぃ」
深澤「……帰ってくんない?」
「えー、冷たくない? 記事見てないの?」
深澤「見たよ」
「辰哉ぁ、いつになったら私と付き合ってくれる?」
深澤「一生無理かな」
「なぁんで」
深澤「帰ってくんない? 付き合ってもないのに押しかけて何のつもり?」
「だから言ったじゃん。辰哉の彼女になりたいんだって」
深澤「だから出来ないって」
「……なんで?」
深澤「結婚したい子がいんの」
「えーでも、体の相性は私の方がいいでしょ?」
深澤「なんか、そーじゃないんだよね」
「じゃあどういうこと?」
深澤「上手く言えないけど、一生守りたいのは君じゃないってこと」
「ふーん。……なんかつまんないね、今の辰哉」
深澤「真面目な話してるからね」
「じゃあさ、お別れのキスして」
深澤「何それ」
「いいじゃん。思い出」
深澤「俺のこと週刊誌に売ったくせに?」
「あはは、それはそれ。これはこれ」
深澤「できないから。もう帰ってよ」
「えー、つまんなぁい」
ぐい、と服を引かれて、唇を奪われる。ぬるりとした感触に吐き気を覚えたのなんて初めてで、戸惑いが体を襲う。
「んふふ。ばいばぁい」
ひらひらと手を振って帰る彼女は三日月形に目を歪めて、夜の街へと消えていった。
名前が来る前だったのは、幸いなのか。洗面台へ駆け込んで口をゆすぐ。……もう、最悪。
『ごめん、今日仕事遅くなったから行けない』
いつまで経っても来ない彼女から、そんな連絡が来たのは、嵐が去った午前0時のことだった。