甘酸っぱい青春映画

7月9日金曜日。仕事は夕方からなのに、わりと早く目が覚めてしまった。まあ、健康的な生活ってことでいいか。大きく伸びをしてスマホを確認する。あー、さっくん個人仕事か。じゃあしょうがないや。
もし暇してるなら遊ぼうかと思ったけど、Snow Manとしては有難いことに忙しいみたい。

「あぁ、そうだ。映画館行こーっと」

手早く身支度を整えて、最寄り駅から数駅歩いた先で電車に乗る。現場近くの映画館で前売り券を提示して、座席を選ぶ。返された前売り券に書かれているタイトルは『ハニーレモンソーダ』。ラウが主演を務めたあの作品だ。
1回見てるんだけど、メンバーだけで見るのとお客さんがいる中で見るのとじゃまた違うだろうからね。それに、Snow Manの曲が劇場で流れる感動を、もっと味わいたくなった。『ライアー×ライアー』の映画でSixTONESの『僕が僕じゃないみたいだ』が流れた時ですら、ぐっとくるものがあったから。


***


夕方、現場入りしてラウを見た瞬間、映画を思い出して涙が溢れそうになった。涙目の私を見てラウや目黒が驚いて駆けてきた。

ラウール「奏依ちゃんどうしたの!」
目黒「何かあった?」
「え、あ、いや……、ごめん」

ふにゃと笑みを浮かべ、財布からチケットの半券を取り出す。

「さっきハニレモ見てきたんだけどさ、ラウ見たら思い出しちゃった」
ラウール「なんだぁ……よかったぁ……」
目黒「てか見に行ったんだ。1人で?」
「うん。平日だけどお客さんわりといたよ」
目黒「バレてない?」
「声掛けられてないからたぶん」
目黒「大丈夫かな」

スマホでサーチ掛けてみるけど目撃情報も出てなかった。別に出たからって、囲まれたりつけられたりしなければ全然いいんだけど。

「どうやったら私も石森ちゃん係になれる……?」
ラウール「奏依ちゃんはラウール係でしょ?」
「え、それ目黒でしょ?」
目黒「え?」
ラウール「えー?」
「ほんと石森ちゃん係になりたい……」
ラウール「明日会うから伝えとくね」
「えっ、ほんと? ……あ、舞台挨拶か。じゃあ、遠藤係にもなりたいし菅野係にもなりたいですって言っておいて」
ラウール「女子全員好きだね。……てか、ねえ、だからラウール係は?」
目黒「奏依ちゃんは俺係でしょ?」

大きいの2人に詰め寄られてるのに、どっちも保育園児みたいで、はいはいと宥めながらも聞き流す。ほんと、ハニレモの女の子たちみんな可愛すぎて守りたくなるんだよね。

「どっちの係でもないよ」
目黒「これね、はっきりさせた方がいいよ」
ラウール「Snow Manで話し合わないとね!」
「えぇ……」

そんな必要ないって言ってるのに聞き入れてもらえず、2人は全員揃った時に「奏依ちゃんが誰係か決めよ!」って言って翔太くんから「は? 何? 生き物係でいいんじゃね」って適当な返しをくらっていた。


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ラウール「昨日、うちのメンバーがプライベートでハニレモ観てくれたの」
吉川「えっ!」
ラウール「東雲奏依ちゃんっていう、うちで唯一の女の子なんだけど」
岡本「えっ!! 東雲さんが!?」
ラウール「うん。で、石森係になりたいって」
吉川「ええっ!?」
濱田「えー、高嶺係じゃないの?」
ラウール「えっとねー、石森係と遠藤係と菅野係になりたいって言ってた」
岡本「私達も?」
堀田「むしろ私が東雲係になりたい」
岡本「私も!」
吉川「私も!」
ラウール「競争率高いなぁ」
坂東「てか東雲さんは何係なの? ラウール係?」
ラウール「そう! 俺係!」
濱田「その顔は嘘だなー?」
ラウール「……う、ほんとはまだ決まってない。今度決める予定」
濱田「がんば!」
坂東「がんばれー」


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