浴衣撮影B

ちょっと髪とメイクを直してもらって、また撮影に挑む。次は目黒とらしい。

目黒「よろしくね」
「うん、よろしく。お手柔らかに」
目黒「なにそれ」

目の前の彼はくすくす笑いながら「本気出しちゃおっかなー」なんていじわるな子供みたいな顔をしてた。そして、「奏依ちゃん」と呟いて、私の髪の花飾りにそっと触れる。まるで恋人に触れるみたいに優しくて、慈しむような眼差しに不覚にもきゅんとした。さっきの翔太くんとは大違いだ……。それはそれで翔太くんに申し訳ないか。

目黒「好きだよ」
「何言ってんの」
目黒「ふふ、この方がカップルっぽいかなって」
カメラマン「めっちゃいいです!」
目黒「ほら、ね?」
「……恥ずかしいんだけど」
目黒「ふは、照れてる」
「さすがに照れるよ」
目黒「可愛い」

花飾りに触れていた手が頬へと下っていく。なんだかひどく心拍が高鳴って、目黒から目を逸らせなくなった。遠くでラウとさっくんの可愛い悲鳴が聞こえた気がしたけど、それを気にする余裕はない。

カメラマン「はい! OKです! 今度2人でカップルショット撮りませんか? ぜひ撮らせていただきたいです!」
目黒「どうする?」
「遠慮しておきます……!」

たぶん心臓が持たないから。すぐに目黒から距離を取った。さっくんたちのところへ走っていきたいくらいだった。でも浴衣だから上手く動けなくて、1歩、2歩とだけ距離を取った。
次は、ふっか。「よろしく〜」って歩いてきたふっかは、なんか凄くゆるいときのふっかで、撮影大丈夫かなって思ってしまう。

カメラマン「じゃあ僕室内から撮るので、縁側座ってもらって、お互い見つめ合う感じでお願いします!」
「「はーい!」」

カメラマンさんの指示通り向き合えば、急にスイッチが入ったらしいふっか。いつになく真剣な表情をするものだから、こっちも頑張らなくちゃと気持ちを切り替える。

「さすがドラマ班」
深澤「んまぁねぇ〜。奏依、浴衣かぁいいじゃん」
「ありがと。ふっか、手ぇ貸して」
深澤「ん? 何〜?」

ふっかの手をとんと自分の頭に乗せて撫でさせる。

深澤「どしたぁ? 甘えん坊じゃん、珍し〜」
「昔よくこんなのしてもらったなーって」
深澤「うそ? そんなしてたっけ?」

さっきまでのかっこいい顔がくしゃくしゃの笑顔に変わる。私も嬉しくなって笑っちゃって、でもカメラマンさん的にはそれが良かったみたいで「いい! 凄くいい!」とシャッターを切る音が鳴り響いた。

スタッフ「はい、お疲れ様です! 次は、阿部さんお願いします!」
深澤「え、もう終わり? てか俺はめめみたいにカップルショットのお誘いない感じ?」
「阿部ちゃーん。次、阿部ちゃんだってー」
阿部「はーい」
深澤「え、無視!?」

渋々捌けていくふっかとニコニコで入ってくる阿部ちゃん。既にプランがあるのか「俺に任せて」と耳打ちされた。

阿部「疲れてない?」
「大丈夫。みんなと撮ってもらうの楽しいし」
阿部「そっか。でも水分補給はちゃんとしなよ。はい、お水」
「あ、ありがとう」

手持ちの扇子でパタパタと扇いでくれ、日傘までさしてくれた。

「阿部ちゃん、スタッフさんみたい」
阿部「ふふ、うちの姫に倒れられたら困るからね」
「姫って……」

照れくさいな、と困り顔をしてると阿部ちゃんが「奏依がどう思ってても、俺らにとっては姫だよ」って呟いた。こういうときどんな顔していいのか分かんない。ただ、頬はさっきより熱くなってる気がする。
お水を片付けて、撮影再開。阿部ちゃんは私の手を引いてゆっくりと歩きだす。

阿部「ちょっと暑いけど、大丈夫そう?」
「大丈夫だよ」

彼は私の頬を撫で、こつんとおでこ同士を合わせた。「近いよ」って笑えば「カップルフォトでこんなの見たからさ」って返された。急に体温が上昇したみたいで、なんか顔も火照ってきた。照れくさいし、なんだか恥ずかしい。心音が高くなっていくのを感じ、どうしていいか分からずにいた手できゅっと阿部ちゃんの浴衣の裾を掴んでみる。

カメラマン「あー、それやばいです! めっちゃいい!」
スタッフ「本物のカップルみたい……」
カメラマン「はい! OKです! ありがとうございます! いやあ、Snow Manさんいいですね。カップルフォトで1冊作れちゃいそうです」
「「ありがとうございます!」」

未だ阿部ちゃんの裾を掴んだままで「あ、ごめん」と手を離せば「全然。大丈夫」と阿部ちゃんは笑った。

阿部「俺たち、本物のカップルみたいだって、ふふ」
「ふふ、嬉しいけど、照れくさいね」
阿部「たしかに」

お互いくすくす笑って、阿部ちゃんは次のメンバーと入れ替わる。


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