浴衣撮影C
次は、康二との撮影。カメラマンさんからの要望で和室の中で康二に膝枕することになった。
向井「ええの?」
「どうぞ?」
向井「じゃ、じゃあ……、失礼します」
康二が寝転がるのを見てなのか、遠くからさっくんとふっかがなんか叫んでた。
「そのアングルから顔見られんのやだなあ」
向井「え? ええやん。俺だけの特権」
カメラマン「東雲さん、首曲げて向井さんのこと見つめたりって出来ますか?」
「こうですか?」
覗き込むように康二を見つめる。ついでにほっぺに手を当ててふにふにしてみたり。「何してんの、もー」って言いながら私の頬へ手を伸ばす康二。お互いにほっぺを触り合いながら遊んでる姿がカメラに収められていく。
カメラマン「OKです! めっちゃ可愛かったです!」
向井「ありがとうございます」
「ありがとうございます。……康二、いつまで寝てんの?」
向井「だめ?」
「足痺れてきた」
向井「それはー……しょうがないなぁ」
普段あまり正座しないせいか、足が痺れて立てない私に手を貸して立たせようとする康二。立てないんだけど。ぷるぷる震える足をちょんちょんと触ってくるのはラウール。イタズラがすぎる。
「ラウ、ほんと無理」
ラウール「え? ダメ?」
「ダメ、お願い」
ラウール「んふふ。奏依ちゃんのお願いだったら、まあ、聞いちゃう」
「ありがと。てか次ラウなんだ」
ラウール「そうだよ」
今日の撮影、さっくんが最後なんだ。てっきりラウが最後だと思ってた。
ラウとは身長差があるのもあって、立っての撮影。ほんと大きくなったなあ。あと大人になった。
ラウール「ふふ、そんな見つめないで」
「えっ? あ、ごめん。無意識」
ラウール「今日の奏依ちゃん可愛いから照れる」
「あはは、嬉しい。ありがとね」
ラウール「さっきのめめとの撮影もドキドキしたし」
「おぉ! それすごい嬉しい!」
カメラマン「東雲さん、ラウールさんの肩に頭置く感じでお願いします!」
「こんな感じですか?」
カメラマン「はい! まさしくそんな感じです!」
ラウール「ふふ、奏依ちゃん可愛い」
「ラウもかっこいいよ」
ラウール「照れちゃう」
ふにゃふにゃな顔ばっかり撮られてる気がしたからちゃんとかっこいいスタイリッシュなカップル感も出したくて、かっこいい顔もしといた。まあどんなのが使われるか分かんないけど、緩んだ顔よりはマシだと思って。
カメラマン「はい、OKです! ありがとうございます!」
スタッフ「佐久間さんお願いしまーす!」
佐久間「はいはいはーい!」
走ってくるさっくんの姿は、遊んでほしい時の犬に似ててなんだか可愛く思えた。くしゃくしゃの笑顔を浮かべながら「やっと俺の番きた」って言う彼に「おまたせ」と伝える。
佐久間「んひひ、お疲れ」
こそこそとさっくんがカメラマンさんに耳打ちする。私はというと、メイクを直してもらったり水分補給をしたり。倒れたら元も子もないから適度に休憩を取っていた。
カメラマン「じゃあ佐久間さんの言った感じでやってみましょう!」
「え」
聞いてないんだけど。聴き逃したとかじゃなくて、全く聞いてない。きょとんとする私の横でさっくんだけが笑っている。さっくんがさしてくれた傘の中に入り「どうすればいい?」と尋ねれば「んじゃあ、俺の手握って?」と言われた。
ひとつの傘の中で寄り添う二人。心臓の音が聞こえるんじゃないかって心配になるほどの距離感に今更ながら困惑してしまう。
佐久間「しのー、ちょっとだけ傘持ってくれる?」
「え? うん」
さっくんの代わりに傘を持てば、彼は空いた手で私の体を抱き寄せた。顔が赤くなるのを隠すように俯けば「こっち見て」と彼の声が耳を撫でた。
佐久間「奏依、凄く可愛い。このままちゅーしたいくらい」
「え、あの、えっ」
佐久間「んふふ、冗談。げ、めっちゃ照たちに睨まれてる」
うるさいくらい心臓が高鳴った。彼は私の頬に触れ、目線が合うようにしてくる。だけど、私はさっくんのこと見れなくて、顔を隠したくなってそっぽを向いた。
佐久間「だーめ。今は俺だけ見て? ね?」
くすくす笑う彼はずるいくらいイジワルな顔をしていた。私の首に頭を置いたり、耳打ちするみたいに唇を耳へ寄せたり、いい意味で好き勝手するさっくんに翻弄されながらも撮影は続いた。
スタッフ「ありがとうございます! これで、全員終了です!」
カメラマン「東雲さんも長い間お疲れ様でした!」
「いえ、こちらこそありがとうございました」
「「「ありがとうございました!!」」」
撮影終わりに皆で記念撮影をしたり、フォトボーイに撮ってもらったりした。後から康二に見せてもらった写真のひとつに私の横顔のものがあって、それがSnow Man内でやけに人気だったという噂は私の知るところではない。