愛されてる証拠

もう何度目かの『白蛇:縁起』を観に行く。席について、しおりの入った銀袋に手をかける。今日こそ……今日こそ……。そう念じながら開けて言葉を失う。ああ、まただ。


「おはようございまーす」
佐久間「おー、奏依おっはー!」
「さっくんおはよー」

鞄を置いて「あ」と小さく言葉を洩らす。そしてスマホゲームをしてたさっくんの横に腰掛ける。

「さっくんあのさ」
佐久間「んー?」
「白蛇見たんだけどさぁ」
佐久間「おぉ! あんがと!」
「めっちゃ見たのね」
佐久間「んひひっ、おぉ、おぉ」
「んでさ、見てもらいたい。これ」

ぱっと見せたのは1枚の写真。ゲームを中断してさっくんがそれを目にする。

佐久間「んぉ? あ、わははははっ!」
「こんなことある?」

写真に写ってるのは9枚のしおり。全部白蛇の特典なんだけど、1週目の宣単体のしおりが3枚。2週目の宣とはらまきのしおりが3枚。そして3週目も宣とはらまきのしおりが3枚。見事にダブった証。

佐久間「てか奏依すんごい見てんじゃん!?」
「めっちゃ見たよ」
佐久間「やばすぎ! 超嬉しい!」
「白のしおり欲しいよ〜」

テーブルに突っ伏して、ぐすん、と泣き真似してみる。そしたら隣でさっくんは笑ってた。

佐久間「そんだけ宣が出るってのは宣に愛されてる証拠! もちろん俺にもね!」
「三森さんと白にも好かれたいな」
佐久間「もー! 俺じゃダメ?」
「だめじゃないけどさぁ」
阿部「おはようございまーす」
「阿部ちゃんおはよー」
佐久間「おっはー。あ、ねえ、阿部ちゃんは俺に好かれたら嬉しいよね!?」
阿部「急に何の話?」
「白蛇のしおり、宣しか出なくて……」

阿部ちゃんにもしおりの写真を見せたら笑われた。

佐久間「んで、俺に好かれてるでしょ! 喜んで! って話」
阿部「あ、俺これじゃないの持ってるよ」
「え、本当?」
佐久間「まじのすけぇ!?」
阿部「交換する?」
「ぜひ……! お願いします……!」

阿部ちゃん様様だ……。手を合わせて拝むと「いいからいいから」と笑われた。

「宣単体のでもいい?」
佐久間「こらこらこら〜! そこは大事にしてよ!?」
阿部「なんでもいいよ」
佐久間「おーい!」
阿部「俺持ってるの……たしかこれ」

阿部ちゃんが公式HPを見ながら指さしたのは3週目の宣と白とはらまきが写ってるもの。

「わ! これ狙ってたやつ」
阿部「本当? じゃあ良かった。今度持ってくるね」
「ほんと、阿部ちゃん様様だ……大好き……」
佐久間「んぇえ! ねぇ!」
「何?」
佐久間「奏依の推しって誰?」
「え? はらまき」
佐久間「宣じゃないの?」
「宣も好きだけど推しははらまき」

いやだってはらまき可愛すぎでしょ? 余すとこなくはらまきの魅力を語れば「さすが9回見てるだけあるね」と阿部ちゃんから感心された。

佐久間「奏依明日1人仕事なかったよね?」
「うん」
佐久間「んじゃ俺と白蛇行こ。絶対宣推しに落とす」
「んふふ、いいけど」

ちょっとやそっとじゃ落ちないよ。そんな言葉は飲み込んで、さっくんとの約束を取り決める。あわよくば、明日こそ違う柄のしおりが当たりますように。


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