Don't leave my side
夜闇ってのは時々凄く恐ろしく見える。目瞑ってもう寝てしまおうって思うのに、全然眠れなくて、ぼんやり外眺めたり、テレビもつけずぼーっとしてるうちに、頭の中はほの暗い気持ちでいっぱいになる。
この先デビュー出来るのかとか、俺が出来ることって何なのかとか、ずっとバックで踊ってるだけなのかとか。今の自分への不安、将来の自分への不安、このグループでいることの不安、上げだしたらキリがない。うっすら涙まで滲んできて、良くないと首を振る。……でも、この自傷にも似た思考は止まらない。
そんな時だった。スマホが震えた。こんな時間に誰?
「あ、もしもし照くん?」
岩本「奏多?」
なんで。
「今、泣いてる?」
どうして。
岩本「え? ……泣い、て、ない、けど」
咄嗟についた嘘に声が震えた。
「そっか、よかった」
奏多は心底安心したようにそう呟いた。
なんで、どうして、俺に気付いたの。
岩本「何、急に」
「ん、あー、いや、夢の中で照くんが泣いてたから」
岩本「なにそれ。俺、別に……泣いてないし……」
「うん。それ聞いて安心した」
なんで分かんだろ。でも、気付いてくれてありがとう。泣いてないって言った手前、言うことも躊躇われたその言葉を胸に、静かに奏多の声に耳を傾ける。
「ごめんね、遅くに」
岩本「ううん、大丈夫」
「じゃあ……」
岩本「待って」
おやすみ、と言いかけた奏多の言葉を遮った。まだ、切りたくないって思ったから。
「ん?」
岩本「もうちょっとだけ、電話繋いでて」
「おばけでもいた?」
岩本「いないし。やだ、そういうの」
おばけとか言うのやめてよ。怖いじゃん! くしゃくしゃになりながら奏多に文句言って、寝るまで電話を繋いでもらった。
ようやく訪れた睡魔に身を任す。微睡みの中で「おやすみ、照くん」と呟く奏多の声が耳を撫でた気がした。その日見た夢は、俺たち7人が10人になって、ドームに立つ夢だった。