Just between us
見つけない方が良かったのかもしれない。
でも、誰もいない部屋の隅で泣いている奏多くんを放っておくこともできなくて。
何も言わず隣に腰掛けたら、彼は少しだけこっちを見て、でも何も言わずに頭を預けてきた。
何も出来ない。何もしない。ただ静かに涙を流す彼に肩を貸してあげてるだけ。誰も来ないように見張っているだけ。
鼻を啜る音が室内に響く。
何があったかなんて知らないけど、ただ奏多くんが泣くなんて珍しくて。俺じゃなくて、佐久間くんだったり、岩本くんだったりが見つけてたら、もっといい感じに慰めてあげられたのかもしれない。……慰めるなんてことも烏滸がましいのかもしれないけど。
「……悔しかった。何も知らないのに、適当なこと言われて、言い返すこともできなくて」
ぽつりぽつりと話し始める奏多くんの言葉に耳を傾けることしかできない。お世話になったことも無い番組スタッフがあることないこと話してたって。評価の体をとった批判ばっかりで、でもここで声を荒らげたら問題になるって分かってたから奏多くんも静観してたみたいで。何度も「悔しい」と繰り返す彼の言葉をただ静かに受け入れた。
「……落ち着いた」
目黒「ん」
「ごめん、目黒。……でも目黒がいてくれて良かった」
少しだけ赤くなった目で俺を見つめる奏多くん。くたりと無理やりに笑みを浮かべていたけれど、それは凄く痛々しくて。気付いた時には彼を抱きしめていた。男にこんなのされても嬉しくないだろうけど。でも少しでも、彼の辛さが拭われればと願って。……ううん、違う。守ってあげたいと思った。守れなかったことを後悔した。俺まで泣きそうになって、でもここで泣いたら絶対ダメだから。俺は口元をきつく結んで、彼を抱きしめたまま、特に何も話さずに時間を過ごした。
「……今日のこと、誰にも言わないで」
目黒「ん、分かったよ」
「約束だからね」
目黒「うん。俺と奏多くんの秘密ね」
小さく指切りをして2人で部屋を出た。少しして、俺らを探していたらしいマネージャーさんに2人して凄く怒られたけど、でも俺たちは顔を見合わせて笑うばかりだった。