佐久間くんとプリン

佐久間「わ! うんまっ!」

このプリンめっちゃ美味い。あっという間になくなっちゃった。

「ねえ、ここにあったプリン知らない?」
岩本「佐久間が食べてたやつじゃない?」
佐久間「んぇ? あ! 奏依ごめん!」
「……もうない、ね」
佐久間「まじでごめん! 明日買ってくるから!」
「お店、明日定休日なんだよね」
佐久間「うわ、まじでごめん! 絶対、絶対買い直してくる!」

しゅんとしてリビングから去っていく奏依。うわあ、俺マジでやらかした。隣で全部見てた照が「ここすげー並ぶとこだよ」と店の場所を教えてくれた。明日は休みって言ってたから、明後日。ちょうど仕事も午後からだし、朝イチで並びに行こう。


***


開店前から長蛇の列をつける店。……俺、買えるかな。ちょっと心配になるレベル。でも、並ぶのは苦じゃない。コミケとかジャンフェスとかもすげー並ぶし、それに比べたら全然余裕。ただ男1人で並んでるのが俺だけで、周りみんな女性なのはいたたまれないかも。

スマホで時間を確認する。並び始めて30分。ようやく開店時間となる。俺の番は……まあ、まだまだ先かな。スマホゲームをしながら、列が進む度に、1歩、また1歩と進む。

「よかった〜、ちゃんと買えた」
「ほんと、並んだかいあったね」

並び始めてもう2時間くらい経つかな。帰っていく人達の中にはちらほらそういう声も聞こえて、ああいいなぁ。俺も買えるかなぁってぼんやり考えてた。

店員「いらっしゃいませ」

店に入った頃にはもう、商品も少なくなっていた。本当に人気店なんだなぁ。

佐久間「プリン全種類2個ずつ……」

そう言いかけて視線の端にギフトセットを見つけてつい「あれも」と言ってしまう。奏依が喜んでくれたらいいなって思ってつい。

店員「リボンのお色なんですけど、ピンクと青、お選びいただけます」
佐久間「……じゃあ、ピンクで」

俺のメンバーカラーのリボンでラッピングしてもらった。お店の紙袋を持って店を出る。……今日、奏依何時に帰ってくるかな。


***


結局奏依が帰ってきたのは深夜だった。部屋からひょこっと顔を出して「あ、おかえり……」なんて躊躇いがちに声をかける。

「ただいま。まだ起きてたんだ」
佐久間「ん。あのさ、冷蔵庫にプリン、入ってるから、その、良かったら食べて……?」
「え、うそ!?」

冷蔵庫の方へ駆けていく奏依。その後ろ姿をぼんやりと眺めてたら「わ! え、めっちゃいっぱいある!」と奏依の声が聞こえて少しほっとした。

「これ、さっくんが買ってきてくれたの?」
佐久間「……うん。俺、一昨日プリン食べちゃったから」
「めっちゃ並ばなかった?」
佐久間「並んだねぇ。んでも、わりと、すぐだったから」
「本当に……?」
佐久間「うん。ほんとはもっと種類あったらしいんだけど、俺が店入れた時には減ってて……それだけ。あと、奏依、これも」
「これ、何?」
佐久間「焼き菓子のセット。……ほんと、ごめんなさい」

菓子折りを差し出したまま頭を下げれば、奏依の笑い声が響いた。

「あ、もうラウとか寝てるよね。静かにしなきゃ。ふふ、ありがとう。嬉しい」
佐久間「……もう、怒ってない?」
「最初から別に怒ってないよ?」
佐久間「え……」
「だって仕方ないじゃん。食べちゃったものは」

ぎゅうっと奏依を抱きしめて「……んでも、ごめんねぇ」とまた謝る。奏依は「もういいって」と言いながら俺の頭を撫でてくれた。

佐久間「……今日、一緒に寝てもいい?」
「んふふ、どーしようかな」
佐久間「んぇぇ……!」
「……冗談。お風呂入ったらさっくんの部屋行くね」
佐久間「ん、待ってる」

触れるだけのキスをして奏依がお風呂へ行くのを見届ける。早く来てくれないかな。奏依の部屋ほどじゃないけど俺の部屋にもいくつかあるクッションを抱き抱えて顔を埋めた。