キスしたい。だめ?
深澤「奏依、なんか欲しいものとかないの?」
「何、急に」
くすくす笑いながらシナモンに視線を移す奏依。
「別に何もないよ」
そう言って「ねー?」とシナモンに語りかける。奏依の手の中でうんうんと首を振らされるシナモン。やってることは可愛いんだけど、なんかそうじゃねえじゃん? 俺は奏依になんかあげたいの! あげたいし貰って喜ぶ顔見たいの! もうさ、全部俺の我儘なんだけどさ、好きな子にはそんくらいしてあげたいじゃん? シナモンだって俺があげたものだし、奏依の部屋にある沢山のぬいぐるみもそう。花開いたみたいなぱっと明るい笑顔で「ありがとう」って言うのが好きで、もっと見たくなるんだよね。
深澤「なんかないの〜?」
「ないよー」
寝転がる奏依の頬に触れてぷにぷにと弄ぶ。その流れでキスしようとしたら「こら」と押しのけられた。
深澤「キスしたい。だめ?」
「……だめ」
む、と頬を膨らましたのは奏依の方。俺も同じように頬を膨らましたら「似合わないよ」って笑われた。
深澤「ばぶキャラ極める予定なんだけど」
「あははっ!」
深澤「笑うとこじゃないだろ!」
「ふっかは普通にしてたらかっこいいんだから」
深澤「うわ、嬉しい」
「単純」
最後の言葉は聞かなかったことにした。とにかく奏依からかっこいいって言われたのが嬉しかったから、あれあげよっかな。……ふふ、隠してあった袋をクローゼットから取り出して彼女の目の前に出す。
「何これ」
深澤「開けて開けて」
「うん。……えっ」
中身を見て奏依は目をぱちくりと瞬かせた。中に入ってるもの? 超有名なデパコスのリップ。それを取って、奏依の唇に塗ってあげる。
深澤「うん。可愛い」
「え、なんで、えっ、え!?」
深澤「え、だって奏依に似合うと思ったから」
けろりと言ってのけると、奏依は、頭に沢山のはてなを浮かべながら「ありがとう」と言った。
深澤「お礼、ちょうだい」
「お礼? 何?」
深澤「キスしたい。だめ?」
「……ん、だめ、じゃない」
深澤「んふふ、やった」
奏依の頬に触れて、唇を触れ合わせる少し手前で「するよ?」なんて声をかける。「言わなくていいよ」って照れる奏依。もっと俺の事意識して、好きになってくれたらいいのにな。そう思いながら彼女に深く口付けた。