Tatsuya‪√‬

深澤「風呂上がったら俺んとこ来て」

風呂へ向かう奏依に内心ドキドキで声を掛ける。奏依は二つ返事で頷いて風呂場へと消えていった。


暫くして遠慮がちに部屋のドアがノックされる。腕にはいつも通りシナモンが抱かれていて、ふと気が緩んだ。

深澤「ここ座って」
「んー」

俺の横に腰掛けた奏依は「なんかあった?」なんて優しい言葉掛けてきた。きゅんと胸が締めつけられるのを隠すために彼女を抱きしめる。

深澤「あのさー、奏依にプレゼントあんの」
「また? 貢ぎすぎだよ、私に」
深澤「他の女の子に貢ぐより良くない?」
「……それとこれとは話が違う」
深澤「いいからほら、受け取って」

ベットサイドテーブルに置いていた袋からひとつ、小さな箱を取り出して彼女へと向ける。

深澤「好きだわ。誰にも奪われたくない」
「え、えっ」

箱の中に入っていたのは飾り気のないシンプルな指輪。あんまりごちゃごちゃしたの、奏依は好きじゃないから。んで、俺の右手にも同じデザインの指輪が光る。

「ねぇ……」
深澤「何?」
「悪い冗談じゃないよね?」
深澤「冗談でティファニー買うような男じゃないって分かってんでしょ?」

ぶわっと花開くみたいに奏依の顔が赤く染まった。んで、ぎゅうって力強く俺に抱きついてきた。

深澤「好き」
「……うん」
深澤「奏依は?」
「……すし」
深澤「寿司?」
「すき」
深澤「うわ今の超可愛い!」

ちゅっちゅと触れるだけのキスを繰り返し、少しして彼女と目を合わせる。見つめ合って、笑い合って、またキスをして。

深澤「これ、つけさせて」
「ん……」

どっちを出せばいいのか迷ったらしい。両手が俺の前に差し出される。右手の薬指にリングを嵌めて「おそろい」なんて言ったらそれだけで奏依は嬉しそうにはにかんだ。キラキラと光る指輪を見つめる奏依は誰よりも可愛い女の子の顔をしていて、思わず笑ってしまう。

深澤「いつか、こっちもつけさせてね」

左手をすくい取り、その薬指に口付ける。童話の中の王子様みたいじゃない? なんて思って笑えば「王子様だね」って奏依が言ってくれた。

深澤「奏依だけの王子様ね」
「約束」
深澤「ん、約束。ふふ、誓いのキスしよ」

何も言わず目を瞑る彼女に口付ける。深めのキスにたっぷりの愛を乗せて。……あー、やば、足んなくなる。

深澤「ねぇ、触っていい?」

わら。と語尾につきそうな軽さで言葉を紡ぐ。声は軽いけど思いは誰にも負けないくらい重いって、知ってか知らずか奏依は小さく頷いて、俺の首に腕を絡めてきた。そのまま2人でシーツの波に溺れて、眠れない夜を過ごした。もちろん、シナモンには向こう向いててもらった!わら。だってあんな可愛い奏依の姿、例えぬいぐるみでも見られんの嫌だったから。全部全部、俺だけのもの。