無防備すぎるんやって、もう

やっと仕事が終わった。時刻は午前0時をまわっている。……向こうももう仕事終わっとるかな。会いたくてしょうがない。帰ったら会えるんやけど、誰かと約束しとったら、ちょっとしか会えんから。

『奏依ちゃん仕事終わった?』

ぽんと送ったLINEはすぐに既読がついた。

『終わったー。もう帰ってきてるよ』
『そうなん? もう寝る?』
『まだ』
『今日、俺の部屋こーへん?』

もうほかのメンバーと寝るの決まっとったらどうしよ。変にドキドキしとる。マネージャーの車の中でぎゅっとスマホを握りしめた。

『いいよー』

返事はすぐにきた。舞い上がって「わ!」と大きな声出したらマネージャーがびっくりしとった。ほんまごめん。

『俺の部屋で待っとって!すぐ帰る!』

向井「めっちゃ急いで帰れる!? あ、スピードは出し過ぎんでええよ」
マネージャー「はーい」

気持ち急かしながらでも安全運転で家まで送ってもらう。「おおきに、また明日もよろしくな」なんて手を振って玄関のドアを開けた。もう遅いからみんな寝とるんやないかな。静かに行こ。部屋までそろりそろりと歩いて、寝起きドッキリさながらの静かさで扉を開ける。

向井「奏依ちゃん、ただいま〜。え、わ、うわっ」

ベッドに目をやると奏依ちゃんはすやすやと眠りについていた。朝置いてった俺の服、シナモンごとぎゅうってしとんのずるない? しかも、今日のパジャマ、なんか……エロい。キャミソールにガウン羽織っとるだけやからなんかこう、いろいろ、見えんねん。なんでこう無防備なんやろ。

向井「……こんなん、無理やろ。俺、寝られんわ」
「……ん、んぅ。こーじ……?」
向井「あ、奏依ちゃん。ごめん、起きてもうた?」
「んー……、おかえりぃ」

ふにゃりと笑う彼女に照れ隠しでキスをした。抱きしめたいけど、俺たぶん汗くさいし。

向井「風呂、入ってくるな」
「……はぁい」
向井「なあ、奏依ちゃん」
「……ん?」
向井「風呂上がったら、めっちゃぎゅうってしたい」
「んー、まってるね」

待ってる、と言いながら彼女は俺の服を抱いて目を瞑った。彼女の髪をくしゃくしゃと撫でて風呂へ行く。急いでシャワーを浴びて、部屋へと戻る。

向井「やっぱ寝とるやん」

わしわしとタオルで髪を乾かしながら、彼女の寝顔にそっと触れる。

向井「……俺なあ、ほんま奏依ちゃんのこと好き。好きな子がこんなんしとったら、男なんて単純やからすぐきゅんってしてまうんよ? 知っとる?」

矢継ぎ早に出てきた言葉はきっと彼女の耳をすり抜けていることだろう。

向井「……好き。ほんまに。はやく気付いてや」

そう呟いた矢先、奏依ちゃんが俺の手に顔を擦り寄せた。幸せそうな笑顔を見て、思わず顔がほころぶ。

向井「なんやの、その顔。無防備すぎるんやって、もう」

ずるい。奏依ちゃんはほんまずるい。手出すなって方が無理なくらい無防備に可愛いんに、その一線を超えることはできない。

向井「なあ、そろそろ俺だけ見てくれたりせーへん?」

そんな想いをこぼしながら、溢れた分を誤魔化すように彼女の唇を塞いだ。