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久しぶりに月永先輩も加わっての練習、なのだけれど今私達は借りたスタジオで鬼ごっこをしている。事の発端は、月永先輩が霊感が降りて来ないと言った事だ。


「インスピレーション…?ずっと曲を書いてるからではないですか?体動かせばなんか良い案出ますよ!練習しましょう!」
「体を動かすのはいいと思うけど、練習か。練習よりも鬼ごっこだ!鬼ごっこしよう!」
「あと3日後なんらぞ!少しは練習しろよ!」


仁兎先輩が言ってることは、本来ならきっとリーダーの月永先輩が言うべき事なんだろうな。あと3日なのに、メンバーが揃わないのは大丈夫なのだろうか。天祥院先輩が居るときは月永先輩が居なくて、月永先輩が居るときに天祥院先輩が居ない。


「おれが鬼になるからな!逃げろよ!」
「え、本当にやるんですか?」
「10〜9〜8〜」


私の言葉を無視して始まったカウントダウンに、反射的に月永先輩から離れてしまう。仁兎先輩とジリジリ月永先輩から離れているけど、鬼龍先輩はその場から微動だにしていない。


「鬼龍先輩は、逃げないんですか?」
「俺は審判をするからお前らだけで遊べ」
「クロちんずるい!!逃げんにゃ!」
「逃げてない」


鬼ごっこに審判なんて役職あったっけ。何を審判するんだろう、と考えてる間にカウントダウンは0になって月永先輩がダッシュでこちらに向かって来た。追いかけられると逃げなくちゃと思うのは仕方ないことだよね。


「仁兎先輩、お先です!」
「あっ、ちょっと!」
「望月、負けたくないので!」


やるからには負けたくない。それに月永先輩の事だから捕まった瞬間にいんすぴれーしょんが!とか言って制服に落書きされそうだから、私は全力で逃げさせていただきます。


「はいタッチ!次お前オニね!」
「てゆーか、鬼ごっこするにょにこにょスタジオ狭い!!」
「噛みすぎです仁兎先輩!」


それから3人で走り回って、結局レッスンを始めたのは2時間後の事だった。



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