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明日はいよいよジャッジメントの日。こうしてプロデューサーとして臨時ユニットに関われたのは月永先輩が、気まぐれで私を誘ってくれたから。きっと私が居なくても臨時ユニットは強かっただろう。衣装だって鬼龍先輩がプロ並みの腕前を持っているんだから、私は必要なかった。だけれど皆、至らない私を受け入れて優しくしてくれた。それに応えられる仕事が出来たのかわからないけど、それも明日はっきりする。


「明日…かぁ……」


明日の為に早く帰って身体を休ませよう、という事になり少し早めに帰されたんだけど、家に帰ってもきっとソワソワしてしまうから近くの公園で少し時間を潰すことにした。公園には小学生が数人でボールを追いかけていたり、その保護者だろうおばさん達がベンチでお喋りしていたり賑やかだった。気分を変えるのにはもってこいだったな。だけどベンチにはおばさんがいて座れないので、仕方ないから女の子が一人いるけどブランコに座ろう。


「あ、あの。お隣いいですか…?」
「えっ!?あ、どどうぞ」


しばらく二人とも無言で、小学生の声とブランコのサビたキコキコという音しか聞こえなくて、少し気まずい雰囲気になった。うーん、やっぱり大人しく帰った方がよかったのかもしれない。ため息を吐いたとき、隣の女の子が話しかけてきた。


「な、何か悩み事ですか?」
「えっ!?あ、いや違っ、くないんだけど、えっと…」


一人でわたわたテンパっていると女の子がクスクスと笑っていて、もう恥ずかしくて仕方なくなった。しかも女の子の着てる制服は、君咲学院のものだから多分年下で、中学生だったと思う。


「あっ、ごめんなさい、急に笑ったりして」
「あぅー、大丈夫です。でも恥ずかしい」
「悩みがあるなら、ボク聞きますよ。解決出来るかわからないけど…」


事情を知らない女の子に事細かく話すのは気が引けるけど、少しだけだったら不安を口にしてもいいのかな。


「実は……」


私に偉大な先輩がいる事、その先輩と離れて初めて一人で大舞台の仕事を任された事、その大舞台が大切な意味を持ってるはずな事、だけどその意味を知らない事、そしてその大舞台が明日な事。今初めて会った女の子に抱えていた不安を聞いてもらった。


「なんだか、聞いてもらったら少しだけスッキリした気がします。ありがとうございます!」
「少しでも役に立てたならよかったです」


不思議なもので、一人で悶々と悩んでいた数分前より、話を聞いてもらった今の方が心が少し軽くなったような気がする。不安を文字通り吐き出したんだろう。


「あっ、おそくなったけど、夢ノ咲学院1年B組望月リンです」
「ボクは君咲学院の1年B組月永るかです」
「わっ、学年もクラスも一緒ですねっ!」
「ボクの方が年下ですけどね」


でも身長もあんまり大差ないし話しやすいし、その後も色んな話をして色んな共通点を見つけてるかちゃんと仲良くなった。連絡先も交換して、また会うことを誓った。


「そろそろお兄ちゃんが心配するから帰るね」
「今日は本当にありがとうございました!るかちゃんに会えてよかったです!」
「ボクもリンちゃんに会えてよかったよ!」


またね、と手を振って去ってくるかちゃんも可愛いです。明日の事を忘れたわけでは無いけれど、いい気分転換になったのかもしれない。でも明日になったら結局緊張してしまうんだろうな。



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