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ほぼ強制的に悪役に巻き込まれたあの後、作戦会議と言われて何処かへ向かう先輩の後を追いかけて校庭のグランドまで来たのはいいけど、月永先輩は何処へ向かっているのだろうか。まさかこんな人の視線から逃げられないような場所で作戦会議をするとでも言うのか。
「よし、ここでいいな」
「えっ!?ここですか!?」
問題あるか?と真顔で言われてしまうと無いですと答えてしまうのは私の悪い癖だ。グランドの真ん中。先輩はそこになんの躊躇いもなく座り立ったままの私を見上げた。
「作戦会議だぞ。立ってるなよ。おれの首が疲れるだろ」
そうは言われても制服のままグランドに座るのはスカートに砂が付いて汚れるから遠慮したい。だからスカートが地面に着かないようにしゃがむ。
「あ、あの先輩。わた…、望月頑張ります!何がなんだかわからないままですけど、先輩のお役に立てるように頑張ります!!」
「うんうん、向上心は大切だ。でも向上心だけじゃ見習いのままだ。良い機会だしやりたい事やればいい!どうせ今はまだメンバーも決まってなくておれ一人だしな!」
「……望月に衣装を作らせてください!出来る事まだ少ないけど、それなら出来ます!」
魔法少女の衣装を作ったりしてるから、それくらいなら力になれる。月永先輩がせっかく先輩らしく機会を作ってくれたから、私も一歩踏み出してみよう。今回は隠れられるあんず先輩の背中が無いから、初めての一人仕事になるんだ。
「衣装か、Knightsは白だから黒がいいな。あいつらに対抗するような悪っぽい感じで。生地の素材とデザインは任せる。メンバーは決まったら教えるから好きな時に寸法測って作ってくれ」
地面に落ちていた枝を使って重要な単語だけを書いていく先輩。それをメモ帳に書き写して、喋っていた事も漏れなく書き留める。
「先輩が満足出来るような衣装、必ず作ってみせます!望月リン頑張ります!!」
「元気いいな、おまえ!やっぱり若いっていいよな」
それで一曲書けると言って地面に書き始めてしまった先輩に私はどうすればいいのかわからず、先輩の気が済むまで止めることも出来ずに膝を抱えることになる。
飛び出して行ったレオ先輩と先輩を追いかけて慌てて出て行ったリンちゃんが、グランドの中心で座り込み何やら地面に何かを書いている。リンちゃん普段魔法少女とかやってるけど、二人きりになると人見知りしちゃうから心配してたけど…。
「あの調子なら大丈夫そうかな」
自称魔法少女と自称裸の王様という個性が強過ぎる二人だけど、案外互いを補う良いコンビなのかもしれないな。
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